■ 駅 改札から遠い”路面電車” ”路線バス”

富山駅の最大の特徴は駅コンコースへの路面電車の乗り入れです。
これにより『悪天候時にもスムーズに乗り換え』ができるうえ、改札口から電停へ移動する際の『時間のロス』もほとんどありません。

また階段を上り下りする必要もなく、『バリアフリーの面』でも優れたつくりとなっています。
富山駅へ路面電車を引き込む事業は自治体と民間が共同で行っていて、富山市が軌道を保有して、富山地方鉄道が車両を運行する上下分離方式が採用されています。


【住】長崎駅に路面電車を引き込む計画も過去にありましたが、その時は長崎電気軌道が多額の費用負担や、駅利用者以外の利便性の低下を理由に難色を示し、県と長崎市が断念しましたよね。


【平】その計画が頓挫したことで、長崎駅は検索サイトでみると──
駅の改札口から電停まで直線距離でおよそ280mに離れた上、
改札口から歩いて、一度のぼって再び地上の電停に降りますので、
乗換時間は10分ほどかかります。

また路線バスのバス停も、(現在は)駅の東口から国道まで出ないとありませんので、観光客が公共交通を利用するには他の都市と比べてややハードルが高いかなと感じます。


ただしバスについては、現在運行中の駅前の交通広場や、駅の西口と市内の主要観光地を巡る「観光ルートバス」に加えて、10月からは駅の交通広場や西口と周辺の大型商業施設をつなぐ「まちなか周遊バス」の運行が始まる予定です。
この二つは160円で乗れる路線バスとなっています。

【住】こうした取り組みが進むことによって長崎駅と市内の観光地や繁華街へのアクセスが改善されていくことに期待したいところですね。

【平】そうですね、ですが、いくらバスが走っていても観光客がそれを活用できなければ全く意味がありません。
ということで駅での『交通案内』も重要になってくるわけです。
これについて先行事例として取り上げたいのが金沢駅です。

■ 初めて来た人にもスムースな”交通案内” 先進地・金沢

金沢駅には『交通専用の案内所』が設けられていて、駅から各地へ向かうバスチケットを一か所で買えるほか、専門の交通コンシェルジュも常駐しています。

また駅構内のデジタル案内板も観光客には嬉しいサービスの一つ。
次はどこ行きのバスが何時にどの乗り場から出るかリアルタイムで更新される仕組みになっていて、イラストも用いたわかり易いものとなっています。

この2つがあることで金沢を初めて訪れた観光客でも、迷わず目的地へ向かうことができるようになっています。


【住】これは確かに土地勘が無い人にとってはありがたいですね。
地名は難しく、読めたとしてもそれがどこなのか瞬時に判断するのは難しいので、イラストがあればわかり易いですね。

■ 駅周辺 ”道路の過密” 解消は?2024年には新スタジアムが開業

【平】「交通結節」と「交通案内」この2つのキーワードと合わせて、これから早急に改善の検討が必要なのが渋滞対策です。これは先週の新幹線開業日に痛感された方も多いと思います。

今回のブルーインパルスによる渋滞はイレギュラーだったのかもしれませんが、商業施設や出島メッセでイベントがあると長崎駅周辺は渋滞しています。
来年秋には新しい駅ビル、さらに2年後には駅の近くに長崎スタジアムシティが開業し、周辺の交通はさらなる混雑が予想されますから、対策は急務と言えると思います。

【住】新幹線開業でめでたし、というわけではないということですね。


【平】その通りです。新幹線の開業はゴールではなくて新たなまちづくりのスタートでもあります。
これから利用者の声に広く耳を傾けつつ、先行地域を参考に官民が協力して利便性の向上に取り組むことが観光地としての魅力アップやリピーターの獲得にもつながっていくはずです。
そして住民の皆様の利便性向上にもつながります。

今回、お話した内容と、北陸新幹線延伸を見据えた駅前開発が行われている福井駅と敦賀駅については、10月に発刊される長崎経済研究所の“ながさき経済”に書きましたので、そちらもご覧ください。

【住】ウイークリーオピニオン、平家達史NBC論説委員とお伝えしました。