都会とは違う豊かさを
【住】ハード面は整ったので、ソフト面をどう継続的に整えて、受け入れ体制を整備し、観光業の盛り上がりを維持していくかは、今後の課題ですね。一方で、人手不足が深刻ですが、人手不足の面については、どのように受け止めているのでしょうか?
【平】人手不足感の強まりは否めないものの、企業は賃金の引き上げを行うなど経営者が非常に努力をされているので、非常にいい環境だと受け止めているようです。加えて、最低賃金を含め、都市部との賃金格差について、どのように考えておられるのか聞きました。
日本銀行 伊藤真長崎支店長:
「企業の規模・立地の問題にも関係しますけれども、どういうマーケットを後ろで抱えているのかというところに依存するという風に思いますので、必ずしも(賃金の)水準感だけで競うとか、評価をするっていうことではないんだろうという風に思っています」
2024年10月、県内の最低賃金は、これまでより55円引き上げられ、953円となりました。しかし、全国平均よりも102円少なく、東京とは210円もの差があります。
日本銀行 伊藤真長崎支店長:
「都市圏で働くということと、地方で働くということではやはり生活の質というか、生活環境も大きく違うということですので、価格賃金の金額で表せない部分も含めて働きやすいのか、生活しやすいのかということで評価をする必要があるという風に思っていますので、あまり賃金格差みたいなところを大きく取り上げない方が実は良いのではないかなという風に見ています。
【平】いずれにしても、伊藤支店長は長崎の人口流出のスピードの速さを危惧されていて、「今働いている人をしっかりつなぎ留めていくことが大切」とおっしゃっていました。その一方で、「企業は、人がいなくても仕事を回せる体制を考えていく必要がある」ともおっしゃっていました。
金利上昇時代
【住】金利については如何でしょうか。去年7月に日本銀行が金利を引き上げたことによって、県内経済への影響は少しずつ出てきているんでしょうか?
【平】借入金利の改定については、県内の企業でも進んでいますが、
足元の資金繰りは楽であるという企業が多い印象だということです。これは企業の業況が良いということで、企業は金利の負担感について、それほど大きくは感じていないという状況なんだそうです。最後に、ことしの県内の経済の見通しや長崎が目指すべき姿について聞きました。
平家達史NBC論説委員:
「今年2025年、長崎の経済の見通しはどのようにご覧になっていますでしょうか?」
日本銀行 伊藤真長崎支店長:
「先行きについては、当面、足元の緩やかな回復を続けるということになろうかという風に思っています。企業部門については、業況、それから企業収益が上がっていますので、賃上げで収益を圧迫されているところはあるかもしれませんけど、その中でも設備投資あるいは人材を確保するという動きはこのあとも継続していくということだと思います」
未来への戦略

平家達史NBC論説委員:
「今後長崎が目指すべき姿っていうのはどういう風にお考えでしょうか?」
日本銀行 伊藤真長崎支店長:
「やはり次の手を打っていくっていうことが必要だという風に思っています。色々な課題は、経済局面社会情勢が変わる都度都度発生するものだという風に思いますけれども、今持っている自分たちのノウハウであるとか資産をどう活用していくのかっていうところをよく戦略を練って、次の展望を描いていっていただくということが必要なんじゃないかという風に思っています」
【平】伊藤支店長は、国が人手不足対策に本腰を入れている『「保健医療・介護」についても、人手確保はもちろんのこと、生産性を上げて、収益や賃金をどう増やしていくのかが、長崎が考えるべき今年の最大のテーマなのではないか』と話しておられました。課題は山積していますが、ことしも県内経済が活性化していくことを願いたいと思います。