「ペルージャは唯一来ないだろうなと思ってたチームだった」

石井アナ:イタリアに最初に来たとき、石川選手は世界で自分は戦うんだって思っていたと思うんですけど、こういう10年後っていうのは想像されてました?

石川:ペルージャに来ることは想像してなかったです。僕はペルージャは唯一来ないだろうなと思ってたチームだったので、正直なところを言うと。

石井アナ:なんでですか?

石川:ペルージャって身長が高くて、パワーのある選手がいるイメージだったし、僕が最初イタリアに来たときはモデナとか、トレントとかが割と1位になってるイメージが強かったので。ペルージャはキャラクター的になんか僕がいるイメージが全くわかないっていう感じだった。でも、ここ数年ペルージャが常に勝ち続けるようになって、僕と同じようなタイプの選手がいたりというところも含めて、またオファーをいただいたので、これは行くしかないと思って決めました。だけど、まさかペルージャとは。正直なところをいうと、行きたくないとかじゃなくて、くると思ってなかった。

石井アナ:キャラが違うのかな、みたいな?

石川:ユニフォームとかも結構スポンサーがバーって入ってて、やっぱりペルージャのユニフォームは僕似合わないだろうなと思ったりとかして。最初着たときも、なんか違和感ありましたけど、やっとようやく落ち着いてきたというか自分の中で。

石井アナ:すごいスポンサーの数。

石川:トータルすると300くらいあるらしいですけどね。ちっちゃいスポンサーも合わせて、町のというか、地域からいろいろ支援をいただきながらというチームだと思いますね。

石井アナ:人口は16万人しかいないのに300社ぐらいついてたらほとんどの会社なんじゃないかと思うぐらいですけど。私も町でイタリアの方に聞いたら、「今ペルージャって言ったら石川祐希だ」ってみんな答えてくれるんですけど、そういう愛されてる感じっていうのはいかがですか。

石川:それももちろん感じますし、試合の日もやっぱりたくさんの方が来てくれたりするし、応援してくれてることは本当に伝わるのでありがたいですね。

石井アナ:今まさにシーズン中で戦っていらっしゃいますけど、ご自身の中での課題だったり、一番向き合ってるものってなんですか。

石川:課題、プレー面でいうと、レセプションは一つ重要なところかなと思っていて。今、セメニウク選手とプロトニツキ選手が非常にレセプションがいいので、彼らと並ぶためにはやっぱりレセプションが大事だなって思う。レセプションの安定性を今は課題として向き合っていますね。いいときはもちろんいいですけど、たまに悪いときもあったりするので、その悪いときをなるべく少なくしたいなって思ってますね。

石井アナ:コンスタントにいつもいいっていうのはなかなかやっぱり難しい。そのためには底上げというか、レベルを上げなきゃいけない。この作業ってシーズン中は試合もあるし、どうやってやるんですか。

石川:午前中の自主練にレセプションができる状況にあるので、そこでひたすらボールを受けて。ただ、受けるじゃなくって、こういった意識をしたら返りやすく確率が上がるとか。自分の中でそういったものを掴んだりっていう時間があるので、今はそこで午前中のウェイトトレーニングとか、後のボール練習でレセプションをほぼ時間があるときはやってますね。

イタリアの街を歩く石井アナウンサーと石川選手

石井アナ:昨日ファンの皆さんに「何が石川祐希選手の凄さであり、魅力なんだ」っていうことを聞いたら、やっぱり「ハートだ」って。最後まで諦めないとか、一生懸命やり抜く部分、そういうふうにファンの人たちが見てくれてるんですけど、どうですか。

石川:そこは大事にしてるところではあるので、見ていただけてるのは嬉しいなって思います。けど、そこはあくまで最後のピースであるので、それ以前にやっぱり技術だったり、数字とか安定性にこだわっていきたいなって思ってます。最後まで全力でやるとかはもう僕の中でやるので、それ以外のところで勝負できるようになりたいなって思いますね。

石井アナ:もう10年イタリアでプレーをされてますけど、この10年間っていうのは、ご自身の中でどんな10年でした?

石川:難しいですね・・・日本人の価値を高められた10年間だったかなっていうふうには思いますね。最初僕が来たときは、どこの国の選手が来たかもみんな知らなかったと思いますけど、長期間イタリアでプレーすることによって、日本人の価値を高められたんじゃないかなって思います。その前にも加藤陽一さんだったり、越川優さんだったり、眞鍋政義さんだったり、その人たちが日本人の価値を高めたと思ってるんですけど。僕が来たときは、まだ日本人というか日本のチームもそうだし、世界から見たらやっぱり弱い、下に見られる存在であったのは確かです。だけど、この10シーズンをイタリアで戦うことによって、僕自身の価値も高められたと思うし、他の日本人の選手の価値も高められたと思います。また僕がきっかけでいろんな日本の選手がイタリアに来るきっかけも与えられた。その選手たちが活躍したおかげで、より日本人の価値も高まったと思います。そういったことも含めてトータルした日本人の価値をこの10シーズンで高められたのかなと思いますね。

石井アナ:本当におっしゃる通りですね。テニスで言えば、男子テニスは錦織圭選手から日本人の価値を高めて、どんどん次に若い世代が出てきたり、野球で言えば、野茂英雄さんとか、今も大谷翔平選手だったりとか。これがバレーボールでも出てきてる、大塚達宣(24)選手も今やってますし。今29歳になられた石川選手から見ると、日本の若い選手たちが来ることに関してはどのように感じていらっしゃいますか。

石川:僕は非常にプラスだと思いますし、若い選手が来ることは、成長できることしかないと思うので。そういった若い選手が海外で1シーズンでも2シーズンでもプレーすることは、僕はメリットしかないなって思います。