祖母と孫、固い絆を育んだ高校サッカー

1回戦を勝ち上がった十文字は2回戦で今年度のインターハイ準優勝校、大商学園(大阪)と激突。「全員で絶対勝ちましょう!いくぞ!」と円陣で叫ぶ新井選手の姿を好子さんもスタンドから見守った。

キャプテンとしてチームを勝たせるため、新井選手は人一倍ピッチを駆け巡り、攻撃を牽引。しかし、コーナーキックから失点、先制点を許した。祖母の前で勝利をあげたい新井選手だったが、1点が遠く敗戦。新井選手は大粒の涙をこぼしながらスタジアムを後にした。

試合後、好子さんに「ごめんなさい」と泣きながら抱き着く新井選手。好子さんは「大丈夫、大丈夫」と新井選手を労った。

「これからまだまだ楽しい未来が待っていると思うので、飛び立っていってほしい」と話した好子さんに、新井選手は「一番恩返ししたいのはおばあちゃんだったので、結果はついてこなかったが自分なりにやりきれたかなというのはある。次のステージに向かってまた頑張りたい」と声を震わせながら話し、それに好子さんもうなずいた。

言葉では伝えきれない感謝の気持ちを込めて走った、新井選手の最後の冬だった。

【決勝の日程】
1月12日(日)神村学園(鹿児島)ー藤枝順心(静岡)
@兵庫・ノエビアスタジアム神戸