「冷戦時アメリカに頼ることで紛争に直面することなくうまくやった。この成功体験から抜けられない」

一方、保阪正康氏は“親米保守”という言葉自体が論理矛盾しているという。

昭和史研究家 保阪正康氏
保守とはこの国の伝統的な考え方・習慣・発想色々なもの大事にしながらそれをもとにして日々改革をしていこうと…。それに“親米”という前提がついたら論理矛盾…

しかし、戦後日本政治の中で親米一辺倒ではなく是々非々の態度を取った政治家もいた。

ひとりは外務大臣時代駐留米軍の予算を削減した石橋湛山氏であり、ひとりは日中国交正常化を実現した田中角栄氏だ。

昭和史研究家 保阪正康氏
「極端な親米、一体化まで行っちゃいけないんだっていうのが湛山さんや角栄さん。国民の利益、民族的な誇りを大事にしなきゃいけない。その次に親米…」

田中角栄総理はオイルショックの時、キッシンジャー米国務長官からアラブの味方はやめてくれと言われ「中東の石油に依存している。アメリカがその分を肩代わりしてくれるか?」と返したという。

昭和史研究家 保阪正康氏
「田中角栄という人は、アメリカは寄って立つ柱ではあるけれど中心ではないと…。キッシンジャーは“こいつは何を考えてるんだ…。親米という柱を立てるのが筋だろ”と…」

そして冷戦終結後も日本の政治が親米を続けたことについて、保阪氏は歴史は状況が変わったからと言って簡単に変わらないという。

昭和史研究家 保阪正康氏
「50年60年続いた親米…。国家と国家の利害関係が結びついている。これを解きほぐすのは1年や2年では進まない…。残念なのはこれを解きほぐして(自立する方向へ)向かってないって言っていいんじゃないかということ」

一方、前田氏は歴史だけでなく、今まさに進行している日本周辺の動きも重要な要素だという。

毎日新聞社主筆 前田浩智氏
「(―――冷戦が終わっても続いた…)2000年以降何が起きたか…、中国の発展と軍拡なんです。北朝鮮がどんどん核に向けて走る、ロシアではプーチンが復帰して…。権威主義国家が3つ出てきて、ここと日本はどうしていくか…。冷戦時アメリカに頼ることで紛争に直面することなくうまくやった。この成功体験から抜けられないままでいる