カラオケ専門の人も? 映像に出てくる俳優の正体は…

──ご当地の映像も撮り下ろしだったのですね。ほかには、出演する俳優さんのチョイスも気になっていました。ここまでのお話からいくと、俳優さんも決して目立ってはいけないということに…?

「そのとおりです。一般的なドラマで主役を張るような俳優さんですと、もともとの印象がどうしても強いため、カラオケの映像には起用できません。

とはいえ、実際に私たちが出演をお願いしている俳優さんも、ちゃんとした事務所に所属しています。映像にはストーリーも用意されていますので、『ここで初めて会う』『手をつなぐ』といった台本に沿って演じてもらう形です」

俳優が出てくる背景映像はラブストーリーが多い?

──自己アピールを抑えつつも、しっかりと演技…。カラオケの世界を彩ってくれる、その道のプロがいたとは胸が熱くなります。

「同じ俳優さんにばかり続投してもらっても皆さんに飽きられてしまいますので、ある程度は映像ごとに出演者を分けていますが、なかにはカラオケの映像が専門だという方もいると思いますよ」

ただの機械任せではない? カラオケ映像が流れる“法則”

──ここから、もっと深掘りさせてください。背景映像は、どれくらいの数が搭載されているのでしょうか? 毎回フレッシュな気分で歌えるだけの、豊富なバリエーションがありますよね。

「具体的な数は非公表なのですが、何千種類という映像が入っています。1曲4〜5分だとすると、同じ曲を1時間で10回以上歌うことができますよね。それでも、同じ映像は1~2回流れるかどうかという確率です」

──何千種類もあるのに、同じ曲だと同じ映像が流れる可能性もあるということは、ランダムなようでランダムではない…? 曲と映像を、歌詞や曲調によってマッチングさせるシステムがありそうだと疑っているのですが…。

「そちらはまさに、皆さんが知りたがっている秘密の部分ですね(笑)。やはり一つは歌詞の意味、たとえば冬なのか夏なのか、雨なのか晴れなのか…といった要素が、流れる映像の決め手です。

あとは曲のテンポなども考慮し、どの曲にはどの映像が合うかを絞り込めるようなツールが存在します」

──とあるバンドの曲を歌ったとき、公式MVは渋谷の夜景なのですが、カラオケでも似たような映像が流れて驚きました。

「曲と本当に合致した映像を出せるよう、最後は人間が設定に手を入れていますね。歌詞が比喩的なアーティストの場合は、特に難しいです。『これはいったい、どういうシチュエーションなんだろう』と、人間が解釈していくしかない曲もありますので…」