最大2000万円 破格の補助金

前出の「トライオーブ」は当初、福岡市に拠点を置く案も検討したが、最終的に北九州市を選んだ。

北九州市は、かつて製造業で栄えた「ものづくりの街」。この地域には、高度な技術を持つ人が多く存在しており、彼らを巻き込むことで、技術継承や高品質な製品づくりが可能だと考えたという。

それに加えて、石田さんはもうひとつ理由をあげた。行政による手厚い支援だ。

トライオーブ 代表取締役CEO 石田秀一さん
「起業するには、一般に考えられている金額よりも、1桁ないし2桁くらい大きいお金がかかります。そうした中で、北九州市は補助金の金額が、ほかの自治体に比べて手厚かった。さらに市の担当者が実際にお客様のところまで同行してくれる。『うちの市のスタートアップにこういうところがあるんですけど、おたくで使えませんか』とか」

北九州市役所

北九州市は、市を拠点に事業成長を目指すスタートアップ企業に対して、最大で2,000万円の補助金を交付している。
帝国データバンクの旭さんによると、スタートアップ企業に対し自治体が交付する補助金は、一般的に「高くても1000万円」が相場だという。北九州市の2000万円がいかに破格であるかが分かる。