恐怖の監獄 元収容者の証言

市民
「バッシャール(アサド)を監獄に送るべきだ」
政権崩壊後、人々が押し寄せた場所がある。政権に批判的だった人たちが「政治犯」として収監されていた刑務所だ。各地で多くの人が解放された。そのときのものとみられる映像には…

「女性たち出て!怖がらないで!我々は味方です」
「子供がいるぞ。ひどいな」
シリアで最も恐れられた巨大刑務所へと向かった。

増尾記者
「逃げる人を防ぐためだと思われるバリケードがずっと奥まで設置されています」
サイドナヤ刑務所。17年ぶりに自由の身となった男性がいた。エリアス・アブドラさん。

元収容者 アブドラさん
「ものすごく辛かったです。17年3か月と20日ぶりに解放されたときの気持ちを説明できる言葉はない」
ここには、政治犯として3年4か月間投獄されていた。
アブドラさん
「サイドナヤ刑務所の中を歩いているなんて信じられない。それも、自由に」

各フロアに雑居房がいくつも並んでいた。
アブドラさん
「いろんなことを思い出します。ここで死んだ友人たちのことも。みんな死んでしまった、ここで」

アブドラさん
「この部屋です。寝るときにはこれを使っていました」
Q.この部屋にはどのくらいの人が?
アブドラさん
「25~27人いるときがありました。食事で使っていた物です。食べ物を持ってきた兵士がドアをあけると『止まれクソ野郎!』と。そして止まると、連中が中に入ってきて、食べ物が入った容器を蹴とばすのです。食べ物は飛び散って『食え!この犬野郎め!』と言われます」

地下には独房がある。
増尾記者
「ライトを消してみると、もう完全に真っ暗です」

アブドラさん
「兵士がドアを開けたら、こんな体勢をとらなくてはいけません。目は開けてはならず、兵士は入ってくると、何度も殴ります。何度も何度も。それでも声を出してはいけないのです」

アブドラさん
「これが私たちの食べ物です。ここは光がないので、何を食べているのか見えません。食べ物の中に虫がいると、一緒に食べることになります。虫がいると嬉しくなりました。タンパク質ですから」
絞首刑に使われた器具も残っていた。繰り返される拷問や栄養失調で多くの人が息絶えていったという。
シリア全土の刑務所内で5万2千人以上が拷問などで亡くなったとみられている。

アブドラさん
「魂を奪ってくれと祈っていました。もう生きていたくなかった」