田中希実選手:私は、女子400mハードルのシドニー選手とボル選手の対決が毎回気になっちゃいます。

田中が挙げたのは、女子400mハードルのシドニー・マクロ―フリン(25、アメリカ)とフェムケ・ボル(24、オランダ)の2人。マクロ―フリンは世界記録保持者の絶対女王。そんな女王が欠場した2023年の世界陸上で圧勝し世界一に輝いたのがボルだった。記録でも世界歴代2位につけ、マクロ―フリンの背中を追う。

シドニー・マクローフリン
フェムケ・ボル

田中:マクロ―フリン選手は試合にあまり出ずセーブしていて、その間にボル選手がメキメキと力を付けてきた。そんな中、パリオリンピック™ではマクロ―フリン選手が世界記録を出して圧勝で。ボル選手のこれまでの過程を見てきた上での結果だったので、どちらの選手もその選手ならではの強さがあって、魅力的です。

織田:僕はマクロ―フリンは久々に出てきた天才だと思っていて、そんな中でもボルがあそこまで頑張っているのがすごく嬉しくて。本当いいライバルですよね。そういうライバルっていますか?

田中:そうですね、競技の上ではハッサン選手(31、オランダ)もそうですけど、キピエゴン選手(30、ケニア)ですかね。私と同じ小柄な選手というところでハッサン選手よりもキピエゴン選手かな。

フェイス・キピエゴン

※フェイス・キピエゴン・・・1500mの世界記録保持者、世界陸上ブダペスト大会で2冠
※シファン・ハッサン・・・パリ五輪5000m&10000m&マラソンの異例の3種目に出場。全種目でメダル獲得し、最終種目のマラソンでは金メダルに輝いた

シファン・ハッサン

織田:ハッサンは身長大きいもんね(身長170センチ)。

田中:はい。だからキピエゴン選手は、体型も近い中であんな走りができるのは私にとって希望になりますし、彼女がいい走りをする度にいい影響を受けます。

織田:なにか真似してみようとかって思ったりします?

田中:マネできたらいいんですけど、彼女の走りはマネできないフォームなので。その走りを再現できるようなフィジカルと、どんなことをしたらあのフォームができるのかとかは考えたりします。彼女の中でそういう感覚がふっと湧いてきたりしたのかな、とか。

織田:来年の東京大会までに田中さんにも感覚が降りてくるといいですね。もうひとつレベルアップするきっかけを掴んでほしい。失礼になっちゃうかもしれないけど、僕は最初に田中さんを見たときに侍を見たような気がしたの。すごいカッコいいなって。「こんなカッコいい日本女性がいるのか!」って思ったの。だから応援しています!

田中:ありがとうございます(笑)

織田:ただのファンになっちゃった(笑)橋岡選手は誰かいる?

橋岡優輝選手:僕のイチオシ選手っていうよりかはイチオシ種目。男子の三段跳を見てほしいなって。数字でわかりやすくて、男子だと三歩で18mを超えていくんですよ。

織田:渋谷のスクランブル交差点を三歩で超えていくんですね。

橋岡:そうです。それをぜひ目の当たりにしてほしいです。

織田:じゃあ渋谷に行きますか。

橋岡:国立競技場から近いじゃないですか。なので競技の観光ついでに見てもらったら、さらに凄さがわかるんじゃないかと。

織田:ご自身の8mはどうですか?(※橋岡は走幅跳で8m36の自己ベストを持つ)

橋岡:難しいんですよね。聞いたところによると教室の横幅が約8mらしくて。

織田:それを一歩でいくわけだ。小学生がマネしたらケガしそうだな。窓ガラスの割れる音が聞こえた(笑)本当に三段跳はすごい種目ですよね。種目ではなくてイチオシ選手だったら誰?

橋岡:選手だと・・・女子走高跳のマフチク選手(23、ウクライナ)推しです!

ヤロスラワ・マフチク

※ヤロスラワ・マフチク・・・昨季、37年ぶりに世界記録を更新。パリ五輪で金メダルに輝いた

織田:この間のパリも彼女はキラッキラ輝いてましたよ。

橋岡:それで強い。

織田:知らない人は今すぐ調べてほしい選手。最後はサニブラウン選手どうですか?

サニブラウン:やっぱりグラント(26、アメリカ)じゃないですか、ハードルの。
※グラント・ホロウェイ・・・世界陸上3連覇中のハードル絶対王者。フロリダ大学でサニブラウンの1学年上の先輩、リレーでバトンを繋いだこともある。

グラント・ホロウェイ

織田:あ、同じチームだったよね。

サニブラウン:はい、大学で一緒でした。早く世界記録を出してほしいですね。それだけのものを持っていると思うので。

織田:そう言われちゃうと僕は泉谷を推しちゃうな。
※泉谷駿介(24、住友電工)・・・世界陸上ブダペスト大会で、五輪・世界陸上通じて世界大会日本勢初の決勝進出を果たした。

織田:110mハードルはまた面白そうな時代に来ていると思うんですよ。本当に日本の人たちに見てほしい種目。今はなかなか難しいと思うんだけど、昔アメリカで「第10レーン!?」ってくらい近い距離で見たことがあって、ぜひ国立競技場でもできる限り近くで見てほしい。すごい迫力で「おぉっ!速ぇ!」ってなるやつ。それで、「ガシャンガシャンッ!」って音も凄いから!テレビであの迫力出してって何度もお願いしていたんだけど、でもやっぱりテレビでは伝わり切らない生で観たときのハードルの凄さ。「速ぇ!」っていうのと、男子ハードルの高さ。あれはビックリするから。

サニブラウン:腰より上ですからね。

織田:上ですよ。本当に飛んでいるような!