“検事正の就任祝い”を兼ねた懇親会後、官舎へ「気持ちも身体も完全に凍りついた」
事件が起きたのは、2018年9月。
検察側の冒頭陳述などによると、“検事正の就任祝い”を兼ねて開かれた懇親会で泥酔したAさんを、北川被告がタクシーに押し込み、自らの官舎に連れて行ったとされている。
意識を取り戻したときには、既に性加害が始まっていたとAさんは話す。

被害を訴える 検事Aさん
「自分の意識が徐々に覚めていく感じだったんです。全く頭も起こせない、物理的に本当に動けない状態。検察庁での親として思っていた方で、尊敬・畏敬の念を持っていた検事正が、裸で私に対してレイプをしているという現実が全く入ってこなくて。恐怖と『どうしたらいいんだろう』という気持ちも身体も完全に凍りついてしまった」
そのとき、目に飛び込んできたのはー。
被害を訴える検事 Aさん
「押し入れが開いてたんです。押し入れに物があまりなかったんです。それを自分が見ているなかで、私が殺されて、押し入れに死体を隠されてどこかに捨てられるんじゃないかって」
突如、Aさんを支配した“死”への恐怖。
意を決し「夫が心配しているので帰りたい」と伝えたが、性加害は続き「これでお前も俺の女だ」と告げられたという。
その後、「気持ち悪いので、水を飲ませてほしい」と言ったAさん。すると、北川被告はAさんの腕をつかんで台所に連れていき、水道水を飲ませたあと、再び加害を始めたという。
官舎を出ることができたのは、午前2時ごろ。
Aさんは、自宅の風呂場に駆け込んだ。

被害を訴える 検事Aさん
「とにかく彼から触られた、汚された部分を綺麗にしたいという気持ちから、証拠を残さなきゃとか、頭に全く回らずに、検事なのに情けない話ですけど、全て洗い流しました。洗い流して、子供を抱きしめて泣きながら寝ました」
“性被害を受けたのは、泥酔した自分の責任―”。
事件後、Aさんは自らを責め続けた。