激動の2024年。静岡県内は「竜巻などの突風被害」や「危険な暑さ」などまさに異常気象と言える状況でした。急激な気象の変化は私たちの常識を変える状況になっています。

あれから2か月。その爪痕は深く刻まれたままでした。

<鳥居国雄さん(81)>
Q.こちらですか?
「こちらとこことパイプのハウス、こちらにもあったんですけどそれは根こそぎ、白い家の物置小屋に乗った」

10月3日の夕方、浜松市中央区で突然、発生した突風被害。

<突風を目撃した人>
「最初、ゴーっという音がして、段々と渦巻、竜巻がこっちに向かってくるのが見えました」

建物の屋根や壁が壊れ、車が飛ばされるなどの被害が少なくとも浜松市内で40件確認されました。

<浜松総局 寺坂元貴記者>
「2か月ほど前にビニールハウスが飛ばされた現場です。ビニールハウスはここから100mほど先に飛ばされたんですが、重い土台がえぐられた様子でその時の衝撃がわかります」

この際、最も象徴的だった被害が鳥居さんのビニールハウスでした。この場所で40年ほどスプレー菊の栽培を手掛けてきた鳥居さん。突風の恐ろしさを体験したのは初めてだったそうです。

<鳥居国雄さん>
「とにかく聞いたことのないような音がして、瞬間なもんですから何が何だかわからなかった。ゴーッと。聞いたことがない音だった」

4棟のビニールハウスが全半壊した鳥居さん。スプレー菊の生産量は半分に減少、近年の物価高の影響でハウスの再建には数千万円がかかる計算です。

<鳥居国雄さん>
「なんというか言いようがなかったですね、言葉にならなかったですね」

私たちの生活を脅かす気象災害。突風は限定的なエリアで甚大な被害となりますが、広く影響を及ぼしたのは危険ともいえる夏の猛暑です。

<浜松総局 寺坂元貴記者>
「今季最高の40.2℃を記録した浜松市天竜区です。こちらは風が吹いていますが熱風に感じるほどの暑さです」

浜松市と静岡市では7月に最高気温が40℃の大台に。暑さは長引き県内では10月になっても真夏日を観測しました。

極端な猛暑は消費の現場の「常識」を変えています。

<遠鉄百貨店 小山晃弘さん>
「今年は暑さの影響で柔らかい柿が多くてなかなかギフトで出荷する柿が集められなかった」

浜松市の遠鉄百貨店では今年、猛暑の影響で柿の木が「夏バテ」を起こしギフト用の見栄えの良い柿を集めるのに苦労しました。これから最盛期を迎えるミカンも猛暑の影響で出荷に遅れが出るなどもはや旬がずれ始めています。

<遠鉄百貨店 小山晃弘さん>
「お客様に旬の時期をお伝えしながらいい商品をタイムリーにお届けできるように我々も日々努力している」

常識の変化はアパレル業界にも。いま人気の商品は「シーズンレス」で着用できるもの。季節の変わり目が分からなくても重ね着で対応しやすい服が人気を集めています。

<キャスト 遠鉄百貨店 八木さおり店長>
「着替えの時期、例年よりも2か月くらい遅くなっているのかなと感じて」

アパレルメーカーの三陽商会はこれまで春夏秋冬で区切っていた「四季」という考えを変え、長くなる夏を2つに分けて「五季」としました。猛烈な暑さに対応するとともにタイムリーな売り出しを目指しているのです。

<遠鉄百貨店 中村千佳営業推進部長>
「今まで通りの提案の仕方ではお客様に響かないと思うので、作り手側も売り手も考え方を変えていく必要に迫られている」

わたしたちの生活様式をも変えてしまっている「異常気象」。いま「異常」と言われている気象状況が今後、当たり前になる可能性もあり、来年もうまく対応していくことが求められそうです。