自転車に乗ったまま通れる“新しい地下道”をつくったが…

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 こうした状況に市も手をこまねいていた訳ではありません。対策として市は2016年8月、中川地下道から西に350mほどの場所に約80億円をかけて新たな地下道をつくりました。この場所の「開かずの踏切」対策が主な目的ですが、中川地下道の自転車交通量を減らす狙いもあります。こちらの地下道は歩行者用と自転車用に道が分かれていて、自転車に乗ったまま通ることができます。

 この新しい地下道を利用する人に話を聞いてみると…

 「あっち(中川地下道)は上るところもすごく狭いので、私はこっちの方が利用しやすいです」
 「広いし、使いやすいと思います」
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 しかし、平日朝の同じ時間帯で中川地下道と交通量を比べてみると、その差は歴然。新しい地下道を通る人は多くありません。中川地下道で自転車に乗る人たちはなぜ、新しい地下道を使わないのでしょうか。

 「(新しい地下道は)全く知らないです。ここが基本多いんで。(Qなぜ中川地下道を使う?)仕事の関係で、ここを毎日のように使ってる」
 「向こうは通らへんから。家がこっちやから、ここをまっすぐ。向こうまでは行かない」

 巨額をかけた対策でも解決できず、市もお手上げ状態です。

 (尼崎市・都市整備局 新田昭課長)「正直、いろいろ試行錯誤した末に、今に至っているというところもあって。抜本的な方法っていうのがあれば、我々も非常にいいんですけども」

 事故にもつながりかねない危険な自転車通行。急ぐ気持ちは分かりますが、一度立ち止まって周りの迷惑を考える必要があるのではないでしょうか。