「お金を出せば(宇宙に)行ける時代がくる? …大反対です」
アメリカでは政府が出資する月面着陸プロジェクト『アルテミス計画』が始まっている。
2025年 有人宇宙船、月周回
2026年 女性宇宙飛行士、月面着陸
2028年 日本人宇宙飛行士、月面着陸
1970年代に月面着陸を果たしたアメリカがなぜ今また月なのか…。
中国でも今年月の裏側の土を採取し世界で初めて持ち帰った。また2030年までに宇宙飛行士の月面着陸を計画している。
中国に関しては月の資源の獲得を目論んでいると小原凡司氏は言う。

笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー
「中国は地球上の資源がほぼアメリカに抑えられていることに不満がある。宇宙の資源は静止衛星のポジション含め早いもの勝ち…。後発組の中国は月の資源は先に抑えたいと思っている…」
また重力が弱い月からはロケットが打ち上げやすいため、将来的には月を中継基地にして火星などに物資を送ることも視野に入れているという。
さらに月の南極付近には水があるといわれているので、基地の建設も考えられるという。
笹川平和財団 小原凡司 上席フェロー
「月に基地を作る場合は、3Dプリンターを持って行って月の資源を使って基地を作る。発電にはヘリウムストリームのようなものがあって核融合させて電気を作る…。発電は月でしてそれをハイパーマイクロウェーブで地球に送る…」
話はSFチックに展開するが、イーロン・マスク氏は2年後には火星に有人飛行すると公言する。彼が言うと妄言には聞こえない…。
大同大学 澤岡昭 名誉学長
「今、月が注目されているのは水なんです。もし水があれば電気分解して酸素と水素ができる。酸素があれば生活できる。水素があれば燃料になる。火星に行くのにも使える。アポロ計画の時は水は発見できなかった。それがこの頃色々調べるとどうもあるらしいと…。その水がどこにあるか…。国際条約ではどの国も月を領有できないんですが、アメリカがとんでもない解釈をしまして、国としてはやらないが民間がやるのはご自由に…って」
これにより民間企業が早く月の水のある鉱区を見つけて押さえるという動きが始まった。実はこの解釈には日本も追随し、経産省が早く唾をつけろって民間企業に促しているという。とにかく水を押さえたものが月を制するようだ。
そして、月の次に目指すは火星だ。火星は今世紀中に人類の手が届く可能性がある唯一の天体だ。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏
「火星は人類が行く最終目標地点。それ以上遠くの惑星には(今世紀中には)行けない。(中略)月は人が住めませんが、火星は3分の1ですが重力もあるし大気も若干あるので地球に似ている…」
ますます話がSFになってきたが、月旅行までならかなり現実的になってきてはいる。しかし、そこに澤岡名誉学長は苦言を呈する。
大同大学 澤岡昭 名誉学長
「(気軽に月旅行ができるように…)そうなって欲しくないと思っています。一人の人間を宇宙に飛ばすためにもの凄いエネルギーが必要。地球環境考えたら興味や遊びで宇宙なんて(許してはいけない)…。宇宙に行く人は使うエネルギーに見合うだけの植林をするとか…。それができない人は行っちゃいけない。お金を出せば行ける?…大反対」
(BS-TBS『報道1930』12月4日放送より)