足並みを揃えてニュートラルに

――向井さんから見た橘祥吾はどんな人物でしょうか。
良い人間ではないとは思います。生い立ちがあまり幸せでなかったこともありますが、だからといって歪むことを正当化することは違うかなと。彼の行動は犯罪ですからね。ただ、物語の起点でもあり、作品の中で一番の悪でもある祥吾という人物を過剰に演じてしまうと、存在そのものがエンターテインメントになりすぎてしまう。それを避けるために、なるべくニュートラルに演じたほうが怖く見えるのではないかと考えました。派手さは必要ないと思い、台本を読んだ段階からその意識を持っていました。実際にオンエアを見ていると、柳楽(優弥)くんをはじめとするキャストの皆さんが自然体で演じているので、悪役の祥吾が目立ちすぎるのは良くないと判断し、皆さんと足並みを揃えて、この作品のテイストに合わせることを心がけました。
――佐藤大空くんとのシーンではどのようなコミュニケーションを取られていますか。
普通の5歳の男の子という印象です。僕自身にも子どもがいるので、彼にも自然と同じ接し方ができました。コミュニケーションを取ることはそれほど難しくありませんでしたが、あまり仲良くなりすぎてしまうと、祥吾と愁人の関係を演じる際に切り替えが難しくなるかもしれないなと思ったんです。ですが、大空くんは重要なシーンできちんと切り替えることができるんです。また、監督からの細かい指示をしっかりと受け止めていてすごいと思いました。
それにお芝居がとても自然なんです。オンエアを見ていても、柳楽くんや坂東(龍汰)くんとのやり取りが非常にナチュラルで、それは柳楽くんの懐の深さや受けの演技の良さによるものだと感じます。3人のバランスが素晴らしいですね。
