“かけ違い”には話すことが重要

――“愛のかけ違い”がキーワードになっている本作ですが、向井さんが思うコミュニケーションの大切さや、思いが食い違わないようにする方法は何でしょうか。
話すことです。自分が今思っていることだけではなく、例えば「今日、何があった?」といった些細なことでも、話さなければ分からないと思うんです。それは家族だから分かってくれる、ということではない。それは祥吾が橘家に入った時のコミュニケーション不足もそうですが、どんな環境でも「話して理解してもらう」ことが重要だと思います。家族関係は結局のところ人間関係。愛がかけ違わないように、話をしていかなければならないと感じます。
――向井さんもコミュニケーションを大切にされていますか。
家族とは日常的に様々なことを話しますし、「今日はどんなことがあった?」など、まめに聞くようにしています。そういうことを生活の中で当たり前の会話にしていくことで、自然な関係性を保てるよう心がけています。今まで何も聞かなかった人が急に聞いてきたら、詮索しているようでちょっと怖いと思うので(笑)。

夫婦と言えど、良くも悪くも他人同士。本作では主人公の姉夫婦の間で愛のかけ違いが起き、関係がねじれてしまった。「家族というのは“正解”がない難しいもの」と語ってくれた向井さんが大切にしているという日常会話。人間関係を良好に保つために最も必要なコミュニケーションツールだ。家族に限らず、簡単なようで怠りがちだが、身近な人に挨拶やお礼を言ってみるだけでも何かが変わるかもしれない。