家族は正解がない難しいもの

――本作を通じて“家族”とは改めてどんな存在だと感じましたか。

祥吾にとって初めて“家族”と呼べる存在が愛生です。しかし、性別や年齢、考え方、生活環境が異なる人と結婚して家族になるわけですから、その関係を築いていくには模索が必要です。きっと子どもが生まれれば関係性も変化するかもしれませんが、家族は形のないもの。人間だから生活していく中で嫌なことが起こったりすると思うんです。その中で、どうパートナーとすり合わせていくかが重要だと思います。家族というのは“正解”がない難しいものですが、その関係がうまくいくようにお互いが頑張らなくてはいけない。いい意味で他人だからこそ、きちんと気を遣わないといけないですし、尊重し合える関係でいることが大切だと感じます。

――祥吾は愛生と尊重し合う関係性を築けなかったということですね。

祥吾が親を知らないという点が大きいと思います。それに加えて彼の周囲の環境、特に橘家での経験や会社での立場、義理の兄との関係もうまくいかなかったことが要因なのかなと。彼の場合はそうした要素が積み重なって今の姿につながっているんだと思います。