「全盛期は92年と93年」という不思議

しかし、ちょっとおかしなことがあります。
ジュリアナスタートの91年、すでに株価においても地価においてもバブルは崩壊していました。
ジュリアナ全盛期の92年から93年にかけては、不動産や金融関係でなくとも不景気の波をかぶっていた頃で、すべての人にとって、仕事でもうまくカネがまわらず、就職も厳しくなり「なんだかおかしいな」と思い始めていた頃でした。

見た目の派手さとは裏腹に、踊る人びとの心の中はどこか憂鬱でした(経験者談)

その憂さを晴らすように、人びとは「ウォーターフロント」に集い、踊り狂いました。
バブルの象徴どころではありません、バブル崩壊後のヤケクソ踊り、あるいはバブルの残り火ダンス、それがジュリアナの実体だったのです。
だから当時それを分かっていた(一部の)人は、ジュリアナのことを、我を忘れるための「仮面舞踏会」、あるいは「ええじゃないか」になぞらえました。
あれから、30年が過ぎ、そのあたりのディテールを忘れてしまったメディアが、絵柄の派手さゆえに「ジュリアナ=バブルの象徴」としたのでしょう。