働き控えを招く年収の壁。専業主婦の世帯が多数をしめていた時代にできた制度に悩まされてきたのが女性たちです。中にはこの制度に対し20年以上前から「時代にあわせて変えるべき」と声をあげてきた女性もいます。彼女たちの葛藤を取材しました。

キャリアアップに踏み出せない…女性が直面する“年収の壁”

年収の壁に直面し、働き控えをする女性がいる。

不動産会社でパート職員として勤務する平田賄子さん(32)。週3日、年収が103万円以内に収まるよう働いている。1児の母でもある平田さんは、午後5時には退勤し4歳の娘を迎えに幼稚園へ向かう。

夫と3人で暮らす平田さんは子供が2歳の時にストレスを減らそうと再び働き始めたが、働いたことで貯蓄もできるようになった。学費など子供の将来を考えると、もっとお金を貯めたい気持ちもある。

平田賄子さん
「何かあったときにまとまったお金がいるときが多分出てくるとおもうので、そういうときのために『貯めておかないと』とは思っている感じです」

しかし、そんな平田さんに立ちはだかっているのが「年収の壁」だ。

年収が100万円を超えると住民税を、103万円を超えると所得税を納めることになり、さらに106万円、または130万円に達すると社会保険料の負担が生じる。

年収を100万円以下に収めれば、住民税、所得税、社会保険料を負担する必要はない。これが女性の働く意欲を抑制させる要因になってきたという指摘がある。

平田賄子さん
「(制度が)わからないから103万円にしているところもあります」

「1円も引かれたくない」という平田さん。将来的にはキャリアアップをしたい気持ちもあるが簡単には踏み出すことができない。

平田賄子さん
「もうちょっと長い時間働けるのであれば、ちょっとキャリアアップはしていきたいなとは思いますけど。迷うかもしれない。(引かれて)もったいなくなるんだったら、もうちょっと今の状態でいるかもしれないですし」