オシャレな内部も イタリアの天然の洞窟群を利用した洞窟都市

イタリアの世界遺産「マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園」

一方、元々あった天然の洞窟群を利用した洞窟都市が、イタリア南部の世界遺産「マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園」です。マテーラの洞窟群は古くから住居として使われ、その旧市街は今も多くの人が洞窟で暮らしている洞窟都市です。カッパドキアやメイマンドでは人が掘って作った洞窟だったのに対し、マテーラは元々あった天然の洞窟を中心に利用してきたわけです。

洞窟を利用したマテーラのレストラン

番組でも撮影したのですが、内部はイタリアらしいオシャレな家も多く、さらには洞窟を利用したレストランやスパまであって、観光地としても人気急上昇中。マテーラの場合、たくさんある洞窟の入り口にそれぞれ建物が立っているため外観からは洞窟が見えず、内部に入らないと洞窟感がなかなか伝わらないところがあります。

岩窟教会

しかし街の南西にある「岩窟教会公園」では、古代から残るむきだしの洞窟やそれを利用した教会跡を見ることが出来ます。

実は、夏は涼しく冬は暖かいといわれる洞窟住居。洞窟暮らしというと「はじめ人間ギャートルズ」的な原始生活を連想しますが、現代も人が暮らす優れた居住形態のひとつであったのです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太