新規受け入れは終了 医師の重い負担

プライシックさんと安楽死した日本人

プライシックさんは2022年11月、ライフサークルの新規会員の受け入れを終了することを突如、発表した。設立から10年が過ぎたこと、安楽死を認める国が増えたことや、定年を迎えたことなどを理由に挙げている。だが、詳しい心境については触れられていなかった。

新規会員の受け入れを終了した真意は何のか。私は翌月、スイスにいるプライシックさんのもとを訪ねた。

1年半ぶりに再会した私を笑顔で迎え入れてくれたプライシックさん。その表情は、どことなく、ホッとしているようにも見えた。

「10年以上取り組んだし、一定の役割は果たしたと思います。すでに会員登録している人については、引き続き安楽死の手助けすることも約束しています」

これ以上、続けることに耐えられなくなったのかと聞いた私に、こう答えた。

「安楽死の手助けは精神的負担が大きすぎます。『死神』と批判する人がいますが、私はホームドクターとして生計を立てているのです。生活のためにできる仕事ではありません。もしそうだとしたら、私は苦しくなって自殺していることでしょう」