求刑は敦子被告に懲役30年、直哉被告に懲役23年

この被告人質問の翌週、11月19日に論告弁論が行われた。検察側の主張は変わらず、敦子被告が「霊媒師JUN」に成りすましていた「指示役」だったとして敦子被告には懲役30年を求刑した。一方、実行犯の直哉被告に対しては懲役23年を求刑した。検察が求刑を終えた瞬間、ちらりと敦子被告の様子をうかがった直哉被告の表情は、これまでになく動揺しているように見えた。

検察の求刑に対し直哉被告の弁護人は、「劣悪な生育環境が影響し、『呪い』という特異な思考に陥ってしまった」と指摘。情状酌量の余地があるとして、同じような事案の量刑の傾向から懲役9年以下の処罰を求めた。敦子被告の弁護人は「敦子被告の殺人罪は無罪」と主張し、執行猶予付きの判決を求めた。そのうえで、「敦子被告に『首謀者』『教祖』というレッテル張りをして印象操作をした」と検察を非難。裁判員に対しては、「『疑わしきは被告人の利益に』という裁判の原則を忘れてはいけない」と語りかけた。

裁判はすべての審理を終え、あとは判決を残すのみとなった。被告人や証人のこれまでの証言からは事件の真相は全く見いだせない。裁判官や裁判員は果たしてどんな結論を導き出すのか。

常軌を逸した事件の裁判、判決は11月25日に言い渡される。