数時間後、献花も撤去

南波キャスター:
中国での情報統制についてです。
東京大学大学院の阿古教授によると、「情報が拡散し、政権批判につながる恐れがあるため、中国では厳しく情報統制されている」ということです。
国営メディアは、現場の映像を報道しませんでした。一方、SNSに関連する動画などが投稿されていましたが、削除されていました。
ただ、中国のSNSのみならず、日本のSNSでも、事件現場の動画などはかなり拡散されていて、なかなか収拾もつかないような状況になっていると言えると思います。
政府として、より厳しくしようということで、事件現場の献花は、数時間で撤去されて、なかったことにしようとするような動きも見られています。
東京大学大学院の阿古教授は「中国政府が根本的な解決をしない限り、今後も同様の事件が発生する可能性はある」とみています。
中国の失業率(全国平均)は5.2%ですが、肌感覚でいうと、また違った声もあるそうです。
東京大学大学院 阿古智子 教授:
若年層の失業率はもっと高いです。政府系のメディアが非常に宣伝を重視するので、「データがおかしいのでは」という声も出てきてしまっています。
井上キャスター:
GDPもそうですが、中国が発表する国際的なデータは眉唾で見るべきだという声もありますが、いかがでしょうか。
東京大学大学院 阿古智子 教授:
そういうふうに疑われやすくなるんです。統制するということは、何か都合が悪いことを隠しているのでは、と思わせてしまいます。
信頼されたいのであれば、情報統制はやめるべきだと思います。
ホランキャスター:
根本的な解決のためには、どうすればいいんでしょうか。

東京大学大学院 阿古智子 教授:
やはり弱者の方々、景気の悪化で非常に苦しんでいる方々をサポートするセーフティーネットをもっと整備するべきです。
そのためには政府だけではなく、NGOや市民団体も自由に活動できるようにしなければいけません。ですが、そういった団体も統制されていて、一つ一つ閉鎖に追い込まれています。弱い人が相談できる窓口がないんです。
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<プロフィール>
阿古智子 さん
東京大学大学院教授
現代中国の市民社会・教育などを研究