3つの“失”が中国で社会問題に

南波キャスター:
相次いでいる背景に、東京大学大学院の阿古智子教授は「経済の悪化などで“閉塞感”が蔓延している」といい、3つの“失”が社会問題になっていると指摘します。

失業、▼精神の失調、▼人間関係の失敗が大きな要因ではないかとみています。

ホラン千秋キャスター:
いつ頃から、3つの“失”に対する不満みたいなものが大きくなり始めたのでしょうか。

東京大学大学院 阿古智子 教授:
コロナのときのロックダウンが長く続き、経済活動が停滞していって、その後も回復しない中で、徐々に深刻化していったと思います。

井上貴博キャスター:
基本的には中国共産党は、国内を締めつけると言われています。超がつくような監視社会で、徹底的に押さえつけるということだと思いますが、その分、暴発するリスクが高まると感じます。

しかも、人口は14億人います。北風と太陽だと、強い北風で押さえつけるしかないですよね。中国共産党が続く限り、その状況も続いてしまう気がします。

東京大学大学院 阿古智子 教授:
今までは、経済が良くなっていけば、そういう不安も徐々に解消されていったのですが、今はずっと引き締める一方なんです。

緩めてしまうと不満が出てきてしまうのでは、という気持ちはあるでしょう。悪い情報が出ても削除していきます。ナイフや車の暴走などでは、警察も間に合わないということで、そういう意味で社会的なメッセージを発する人が増えていると思います。

ホランキャスター:
その不満を抱えていても、それをどう表すか、どう解消していくかは、人それぞれだと思います。こういう事件が起きると、社会への報復の気持ちが連鎖していく部分はあるのでしょうか。

東京大学大学院 阿古智子 教授:
日本でも、連続した事件が起こったこともありますが、中国では日本みたいにメディアは自由に報道できません。消していますが、消しても消しても、どんどん不満が出てきてしまう状況があると考えられます。