バイオ人工すい島移植プロジェクト

一度発症すると完治する方法がないこの1型糖尿病を治る病気にしようと、今、様々なアプローチで研究が進められています。

(研究者)「白く濁って見えているところが実際のすい島。透明のカプセルの中に白い組織が見えている」

1型糖尿病の治療には、インスリンを分泌するすい島の移植が最も効果的ですが、ドナーが少なく国内ではほとんど行われていません。

そこでドナー不足を解消する方法として研究が進められているのが、バイオ人工すい島移植プロジェクトです。

この治療法では、ドナーからではなく無菌状態で育てられた医療用の豚からすい島を取り出し、特殊なカプセルで包み込んで患者に移植します。

(国立国際医療研究センター霜田雅之プロジェクト長)「無菌的に細胞を加工するための部屋になっています。ここは実際一番クリーンな部屋になっています。豚のすい臓を搬入してここですい島というインスリンを出す細胞の塊、組織があるんですけどそれをすい臓から抽出する作業をする部屋です。こちらの部屋、別のキャビネットの中でカプセル化を行うように設計しています。人の細胞を扱うのはたくさん全国にあると思うが豚細胞のために設計した建設したものとしては私が知る限りでは日本で唯一だと思います」

バイオ人工すい島は、免疫細胞による攻撃を防ぐカプセルで包まれているため、移植後に免疫抑制剤を使う必要がありません。

そのため、患者の体の負担も軽くなります。

プロジェクトでは、2025年以降に臨床試験を開始し、2035年には、希望するすべての患者が日帰りでこの医療を受けられるようになることを目指しています。

(霜田雅之プロジェクト長)「客観的にもすごく患者さん自身もそうですし、後一緒に研究してる専門分野のすい島移植分野の糖尿病専門家の方々からみても非常に期待されているということを日々感じておりますので本当にぜひとも実現したいと思っております。まずは我々のバイオ人工すい島でインスリン注射をなくしたい、そこまで行きたいという風に思います」

治らない病気から治る病気へ。
患者たちが願う未来が近づいています。

iPS細胞から作製したすい島の細胞を移植する研究も進められているが、バイオ人工すい島の移植は、海外で実際に行われた事例があり、その点でほかの研究に比べてアドバンテージがあるということです。