ウクライナ市民「今はとにかく戦争を止めてほしい」徹底抗戦から意識に変化?
小川彩佳キャスター:
須賀川さんは、ウクライナやイスラエルに度々取材に入ってきましたが、今後の情勢をどう見ていますか。

23ジャーナリスト 須賀川拓 記者:
地図から見ていきますと、マリウポリなどを含む東側の地域は、ロシア軍が侵攻している、ある種、占領している地域です。境界では今もたくさんの戦闘が行われています。
そのすぐ近くのミコライウという場所にも、ロシア軍がすぐ近くまで迫ってきています。私が取材したとき住民はやはり「西側、特にアメリカの支援がないと自分たちの土地を奪われてしまう」という危機感が非常に強かったです。
今回、改めてミコライウに住んでいる人に話を聞いてみました。

夫と幼い娘をロシア軍の巡航ミサイルの攻撃で殺害されたルドミラさんは「ロシア軍の攻撃はまだ続いている。今日もドローンの攻撃で4人殺された。もう戦争は嫌だ。家族を奪ったロシアは許せないが、今はとにかく戦争を止めてほしい」と話しています。
戦争当初の徹底抗戦という全体的な空気感から、意識が少しずつ変わってきてる人もいるのが現実です。
藤森祥平キャスター:
こういう人達はトランプ氏の言う「領土の割譲を認めて進んでいく」という政策には合意できるんですか。

須賀川拓 記者:
そこの真意はわからないです。ルドミラさんはそこに関してはっきりと言いませんでした。
ただ、領土割譲での停戦交渉となればロシア側、いわゆる侵略側から見れば“やったもの勝ち”になってしまう、これまで築き上げてきた国際秩序というものが根底から崩れることになってしまう。このまま戦い続けるのか、それともロシア有利の停戦を飲むのか。これは当事者であるウクライナが決めることです。
ただ、一点言えることは、今ここで停戦を飲んでしまえば、ロシアは再びキーウを狙って侵攻再開する可能性が強く残されていると言えると思います。
小川キャスター:
星さんはトランプ氏がどのような姿勢でウクライナ情勢に挑むと見ていますか。

TBSスペシャルコメンテーター 星 浩さん:
ワシントンの関係者に聞いてみますと、トランプ氏の周りは「選挙中は『すぐやめさせる』というキャンペーンをしていたので、やめさせるべきだ」という動き。それから外交の関係者の「そうは言ってもヨーロッパと足並みを揃えて、ロシアと向き合うべきだ」という議論があり今は拮抗しています。
選挙中は「すぐやめさせる派」が多かったですが、だんだんその政権が近づいてくると、「やはり外交を重視しなければいけない」という議論が出ています。
トランプ氏という人は実は「アメリカは戦争をあまりやりたくない」と、それから「巻き込まれたくない」というのが本音です。アメリカの支援は、限定的にはするがヨーロッパと一緒にやるように、日本も含めアメリカを少しずつ巻き込んでいく、ということがこれから必要になってくると思います。