「戦争終結しても占領は残る」トランプ外交で戦争はどう動く

藤森キャスター:
一方、ガザ情勢はどうでしょうか。トランプ氏はこれまでも「イスラエルにとって私以上の友がいたことはない」など、かなり距離を近く感じさせるようなメッセージを送ってます。

須賀川拓 記者:
まず現地からの声をお伝えしたいのですが、現地で活動してる人道支援関係者によりますと、住民の中でもハマスの意向と関係なく、やっぱり出れるもんだったら出たいと。要するに今ガザは住める状況ではない、なので「出たい」と言っている人は確かにいる。

ですが、「トランプ氏ならば、戦争終結してもこの占領政策は残るだろう」と要するに「自分たちには今、選べる未来すらない」と極めて絶望的なことを言っているわけです。

やはりここでも、当初の徹底抗戦から住民の意識は少しずつ変わってきてはいますが、ウクライナとガザに共通して言えるのが、停戦すると相手の侵略や占領を許容してしまうことになる。なので、この辺りはしっかりと考えていかなければいけないと感じます。

星 浩さん:
トランプ氏は「ビジネスマン」という面もあり、アメリカの経済の立て直し、とりわけインフレを止めたいわけです。

イスラエルはもちろん応援しますが、それに反目してアラブが石油を持っているので、アラブの判断で石油が高くなり、アメリカの経済に影響を与えるのは避けたい。ですのでトランプ氏からすると「イスラエル応援したいが、アラブとうまくやり石油高に繋がるのは避けたい」という思惑がある。イスラエルを止められるのはアメリカしかないので、国際社会全体でアメリカによる抑止力というのをうまく利用していくしかない、そういう状況です。

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<プロフィール>
須賀川 拓さん
23ジャーナリスト
前JNN中東支局長
ガザ・イスラエル・イラン・シリアなど中東地域を取材

星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年