国民民主党が「損をしない」構図に
一方、JNNの最新の世論調査では、石破内閣の支持率は12.7ポイント下落して4割を切って38.9%に。国民民主党の支持率は9.1%で前回より7.6ポイントも上昇している。さらに103万円の壁を178万円に引き上げることについて賛成が66%だ。

佐藤:
103万円の壁と、それを超えるための大減税がどれほど国の財政に影響を与えるのかというところまでまだ理解が浸透してないというような気もしますが、「大減税」というと基本的にみんな嬉しいわけですよね。
末廣:
壁を取り除くっていうのはちょっと前にやったリスキリングみたいな。みんなにとっていいことだよねと思うことが多いケースなので、政策の作り方としてはうまくやってるなという感じですね。あとはこの案をどこまで飲むか。検討をしますとか、前向きにやっていきましょうぐらいまではいけるかなと思うんですけど、来年度からいきなりというわけにはいかないと思うんですね、スケジュール的に。
末廣氏は、国民民主党の主張は今年の税制改正大綱には入らず、来年度予算にも入らないと予想する。だが、結果はどうあれ国民民主党は「損をしない」と指摘する。

末廣:
玉木さんが損しないですよね、この構図になると。要するにダメって言われても自民党が受け入れてくれなかった、受け入れなかったとアピールすれば来年の参院選で有利に戦えるんじゃないかとも思いますし。飲んでくれたりとか、完全に実施は難しくても検討まで入れば、それは玉木さんの成果になってくる。そこを自民党、与党がどう国民民主党と今後付き合っていくのかとか、来年の参院選に向けてどういう結論にしたら有利になるのかという力学も働くので。そういう意味で「財務省が置き去り」というのは多分そういうところなんでしょうね。
一方で末廣氏は、「対立した方が自民党、公明党にとってもいいかもしれない」とも述べた。
末廣:
結局、決まらずに経済対策も煮えきらずに小さいものになる、お互いが批判し合って泥仕合になっていくというのも、それなりに可能性としてあるんじゃないかなと思います。経済対策を期待するいまの雰囲気は、そっちの方向にいくと危険だなと思います。
103万円の壁を巡る攻防は、単なる財政問題だけでなく、来年の参議院選挙を見据えた与野党の政治的駆け引きの様相を呈している。果たして、この問題はどのような決着を見るのだろうか。