県内では、コロナ禍収束後の急速な経済活動の回復で、人手不足が深刻さを増しています。
経済調査を手掛ける海邦総研が今年9月に県内企業を対象に行った調査によると、企業の74.9%が「人手不足」だと回答し、理由は「採用活動をしても応募がない」が60.3%と最も多くなりました。

▽海邦総研 地域経済調査部 瀬川孫秀 次長
「コロナ禍で多くの企業が人を減らしてきたという状況があります。今年になって特に本格的に需要が回復し、溢れる需要がある中で人手を確保できず、深刻な状況にある」
調査では、人手不足により生じている影響について「従業員の業務量過多」が55.2%で最多に。「売上機会の損失(51.4%)」、「従業員の残業増加(29.3%)」が続きました。海邦総研によると今後も人手不足は続く見通しです。
「人口の動向はすでに減少段階に入っていますし、高齢化が進んでいます。それを考慮すると抜本的な人手不足の解消は難しいと思う。そこでDXやITの導入で省力化をはかっていくことは今後、当たり前になってくる」

ツアー客の約7割が外国人観光客だという「セルリアンブルー」社。
多言語対応できるバスガイドの育成には時間がかかることに加え、サービスの平準化も難しい状況でした。バスツアーに導入した自動音声ガイドは利用者の満足度も高いといいます。
▽カナダからのツアー参加者
「よかったです。文章でも一緒に表示されていたので、それも合わせて読みました」
人手不足のなかでも、観光客に旅を楽しんでもらいたいー。省力化できる部分は省力化しながら、質の高いサービスを提供し続けたいと東江さんは話します。
▽旅行会社「セルリアンブルー」東江優 取締役営業部長
「観光業はサービス業なので、全てを自動化できない。生産性なり、お客様の取り込みを上げていこうと思ったら、人は必要になっていく。なので、人「プラス」システムで、できることをどんどんやっていこうと」

人手不足の抜本的な解消は見込まれないなか、働き手の確保・定着には、待遇向上や職場環境の整備も重要となってきます。
どこを省力化し、サービスの質を維持していくのか。企業にとって、現状は危機的状況でもありながら、見直すチャンスなのかもしれません。(取材 仲田紀久子)