新興国の枠組みBRICSの首脳会議がロシアで開かれています。36か国が参加し、存在感が増す中、議長国ロシアは“あるテーマ”を封印して臨んでいます。
記者
「中ロ首脳会談が始まりました。プレスセンターの画面の前には多くのメディアが集まっています」
中国やインドなど、加盟国の首脳らと精力的に会談を行うプーチン大統領。BRICSにはイランやエジプトなどが新たに加わり、加盟国は9か国に拡大。トルコやタイ、マレーシアなども加盟の意向を表明しています。
いまや世界の人口の45%、GDPの3割弱を占めるBRICS。ロシアが「過去最大規模の外交イベント」と意気込む今回は、招待国を含めて36か国が参加し、その大半がグローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国です。
ウクライナ侵攻後、欧米との対立を深めるロシアとしては、「孤立していない」とアピールする格好の機会です。
南アフリカの記者
「BRICSは貿易など、世界の重要なテーマを取り上げています」
カメルーンの記者
「多くの国の戦略的発展のために、今回の首脳会議は重要です」
ただ、そもそもBRICSは国益を優先する国が多く、“同床異夢”ともいわれています。グローバルサウスもBRICSに対し、経済的な利益を期待するものの、欧米への対抗軸とされることには拒否感を示す国も少なくありません。
そこで議長国ロシアがとった“戦略”。今回は「ウクライナ侵攻」を議題として扱わないと事前に表明したのです。
これは、去年の首脳会議でのプーチン氏の演説。
プーチン大統領(去年8月)
「覇権を維持したい一部の国の願望が、ウクライナでの深刻な危機を引き起こした」
侵攻は欧米の責任だとする持論を展開しましたが、今年はこんな発言が…。
プーチン大統領
「BRICSは何かに対抗して作られたものでない。『反欧米』でなく『非欧米』なだけだ」
「反欧米」の姿勢を前面に出さずに、グローバルサウスを取り込みたい狙いとみられます。
今回、主な議題の一つとされるのが「脱ドル化」です。ロシアは新たな国際決済システムの議論をすすめ、ドル支配からの脱却を訴えるものとみられます。
政権に近い政治学者 マリーニン氏
「BRICSは新たな決済システムを構築しようとしている。ウクライナでの軍事作戦は、世界経済における西側の影響力が弱まる一種の触媒となったのだ」
グローバルサウスを取り込み、アメリカの影響力低下を図りたいロシア。果たして思惑通りにいくのでしょうか。
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