シリーズでお伝えしている「秋、ひとくち」、2回目は新米です。例年以上に新米のありがたみを感じる今年、そのおいしさを最大限に引き出すかまど炊きのご飯を提供するお店を紹介します。


釜のふちから、吹き出す蒸気。火加減を調整しながら新米を炊くことおよそ30分。最後に10分ほど蒸らしてふたを開けると…。ピカピカに光り輝くご飯が炊き上がりました。

釜を使いかまどで炊いたご飯にこだわるのが、盛岡市内丸にある、「mass~かまどのある家・酒をよぶ食卓~」です。昼は定食メニューを提供するランチの店として、そして夜は日本酒を中心とした居酒屋として営業しています。

こちらの店では普段、多い日で5升=7.5キロの米を炊くといいます。年間ではなんと約2500キロもの米を仕入れます。令和の米騒動ともいわれた今年の夏の米不足の影響は?

(阿部洋祐代表)「うちずっと開業時から(1軒の)農家さんのお米だけを使っていたので、お互いにずっと相思相愛で使っているお米なので、うちはお米不足には悩まされることはなかった」
今月15日、今年も店で使用する米が待望の新米に切り替わりました。

(浅見智リポート)
「かま炊きの新米です。いい香りが食欲をそそります。そしてつやつやしていてきれいですね。秋ひとくち頂きます。お米の甘みとうまみ。適度にもちっとした粘り気があって。おいしいですね」

店では仕入れの状況に応じて岩手県産の5つの品種の米を使い分けていて、今回いただいたのは、「きらほ」という米を炊いたご飯です。この「きらほ」は、もちもちした食感が特徴の品種です。
ご飯だけで十分おいしいですが、週替わりでメニューが入れ替わる昼の定食のおかずは、新米との相性ぴったり。


さらに卵黄の醤油漬けなどご飯がすすむ一品を追加で頼むこともできます。おいしさの秘密は、なんといっても「かまど炊き」。元々は薪用のものをガス用に作り変えた特製のかまどで昔ながらの羽釜(はがま)を使って高火力で炊き上げることで米のうまみを最大限に引き出しています。
そして炊く前のひと手間も大切なポイントです。

(阿部洋祐代表)
「うちはかまどで炊くときに吸水をしっかりして、それをザルで切って乾かしてから炊くというのがあるが、(家庭用の炊飯器でも)その手順をやるとよりおいしくなる」

夏の米不足を乗り越えてやってきた実りの秋。価格の高騰もあって例年以上にありがたみを感じる今年の新米を大切に味わっていきたいものです。