高さ157メートルのケルン大聖堂

世界遺産の中にはドイツの「ケルン大聖堂」のように、完成まで600年以上かかったケースもあります。大聖堂は完成した1880年当時、高さ157メートルで世界一の高さの建築物でした。番組ではヘリコプターで上空真上からこの大聖堂を撮影したのですが、塔の先端の遙か彼方に地上の人間が点のように見えて、まさに目もくらむような映像になりました。

ただケルン大聖堂の完成に時間がかかった理由は、財政難で長期間にわたって工事が中断したためで、インドのカイラーサナータ寺院のように「手作業で岩を彫る」という手間のかけ方から時間がかかったものは他に類を見ないのではないでしょうか。

世界遺産になるための条件のひとつに、「人類の創造的な傑作」というものがあります。エローラ石窟群も、サグラダ・ファミリアを含むガウディの作品群も、ケルン大聖堂も、手間と時間をかけた「人類の傑作」として世界遺産になったのです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太