何かがおかしい?

2005年後半あたりから空気が変わります。彼の研究に対する「疑念」がメディアや研究者の間で広がり始めたのです。
主な疑惑は、黄教授のチームが発表したES細胞のデータが捏造されているのではないかというものでした。韓国のメディアや他の科学者から、ES細胞の画像や実験結果に不自然な点があることが指摘され、研究の信憑性に対する調査がスタートしたのです。

当初、疑惑を報じたMBCテレビ『PD手帳』は黄教授の熱烈なファンから糾弾されました。

当初は疑惑を報じたメディアが糾弾されたりもしましたが、ソウル大学も内部調査を行い、2006年1月に、結果が発表されました。
その内容はこうでした。
「黄教授は実際はES細胞の作製に成功していない」、そして「2004年および2005年の論文に掲載されたデータは捏造されたものである」。
研究成果は、ほぼすべてウソだったのです。

ソウル大学の会見がいわば「とどめ」となり、韓国内は上を下への大騒ぎとなりました。