「一番の省エネ走法」とは

高橋キャスター:
やっぱり注目した選手はオランダのハッサン選手とエチオピアのギデイ選手?

不破選手:
はい、その2人の選手に注目して見てました。どっちかというと自分はスピードがあまりないので、ギデイ選手の走りに似ているのかなと思って、全然力は違うんですけど。ラストでハッサン選手のような選手に追われている状況でも最後までギデイ選手のように諦めないで逃げ切れば優勝できることもあるので、そういうふうに見るとラストで勝負ができないんだったらそのラスト1周になる前から、自分で長めのスパートをかけて。ラストが効く選手を離すことで優勝が見えるのかなっていうふうに感じます。

高橋キャスター:
確かにギデイ選手のように前にいるか、ハッサン選手のように後ろにいるかが一番多分楽なんだと思うんですね。世界大会って真ん中にいると、どうしても押し合いだったりとか、日本のレースように入りたいところにすぐに入らせてもらったり、出たいときに出させてもらえないので、そういった駆け引きで勝負どころになる前に疲れちゃうことが多いんですよね。なので廣中さんのように先頭に出て、自分のペースをつかんで走るか、一番最後にハッサン選手ように、誰の邪魔もないような形で走るかというのが多分一番省エネ走法なのかなと。そういった意味だと、どっち側ですか。

不破選手:
本当に力があったら後ろで様子を見てっていうことはしたいんですけど、今の自分だったら先頭に出て、自分のレースを作る方が世界と戦っていけるかなっていうふうに思っています。
スピード感が自分には足りてないというのが分かったし、勝負の仕方ももっと学んでいかないといけないなと感じた。世界のレベルの高さを痛感して、今出ても記念大会みたいな感じで終わってしまうなと感じたので、いい経験が出来たなと思います。

トレーニングをする不破選手
高橋キャスター:
帰ってきて練習をしている中で、あの風景がふと浮かんだり、変化があった部分ってありますか。

不破選手:
少しきついところで、ここで落としたら置いていかれちゃうなっていう風に思って、そこを頑張るみたいなことはあります。

世界の強さを肌で感じた、19歳の夏。これからの成長を、期待せずにはいられない。

不破選手:
応援してくださる方に感謝を伝えるのは、走りでしか伝えられないなっていう風に思ったので、復帰してまた活躍する姿を見せたいなっていう風に思います。

【取材を終えて】
高橋キャスター:
どうしても、選手として世界大会に出ると、緊張で硬くなったり、雰囲気にのまれてしまうこともあるんですけど、客観的に見るということで学ぶことも多いんですね。今回はウォーミングアップ会場を見ることで、ゆとりを持った準備をすることが大切だと学んだり、レースを見たことで世界を意識した練習を今、出来るようになった。また、けがをしないように食事は2倍に、筋力トレーニングは種類を増やして、変化をしてきたそうです。そして、なんといってもここ(世界陸上)に次は自分が出てやるんだという思いも強くなったということでも大きな経験になりました。


高橋キャスターと不破選手