「4万1870人」。去年10月7日以降、パレスチナ自治区ガザで亡くなった人の数です。イスラエル軍と「ハマス」の戦闘は終わりの見えぬまま1年が経過しました。元イスラエル兵が私たちの取材に応じ、ガザで指揮官に「民家を焼き払え」と命じられたと証言しました。
ガザ戦闘1年 子どもの犠牲1万人超
10月7日のパレスチナ自治区・ガザ。瓦礫となった街で人々の生活は続いています。
ガザの女性
「戦争から今日で1年です。どこに避難しても、惨事が続くことを知っています」
イスラム組織ハマスの奇襲攻撃から始まったイスラエル軍とハマスの戦闘。恒久的な停戦は繰り返し協議されていますが、実現することなく犠牲は増え続けています。

ムハンマド・クムサンさん
「子どもたちが成長して『パパ』と呼んでほしかった。一緒に遊びたかった」
ガザ南部で避難生活を続けているムハンマドさん。8月の攻撃で妻と義理の母、そして…

ムハンマド・クムサンさん
「わたしのかわいい赤ちゃん」
生まれてまだ3日の双子を失いました。
ガザでは2日までに1万1000人以上の子どもが犠牲になっています。
ムハンマド・クムサンさん
「世界中の子どもたちと同じように教育、人生の権利を与えてほしかった。罪なき人たちが、毎時間のように殺されているんです」
その一方で、ハマスに拘束された人質250人以上のうち、今も101人が拘束されたままです。

元イスラエル兵・ユバルさん(27)
「知っている人はいませんが、人質はみんな近い存在のように感じた」
医学生のユバルさん。拘束された人質を助けるために2023年12月から2か月間、ガザ南部で衛生兵としてイスラエル軍に加わりました。そこで見たものは・・・
元イスラエル兵・ユバルさん
「ガザでは右を見ても左を見ても、見えるのは焼け落ちた家々、破壊された家々だけです。何も残っていません。すべてが、すべてが完全に破壊されていました」
葛藤を覚え始めたユバルさん。それと同時に停戦合意をめぐるイスラエルの姿勢にも疑問を感じていました。そうした中、ある出来事が…
元イスラエル兵・ユバルさん
「私の指揮官は、拠点にしていた民家を焼き払うように命じたのです」
納得がいかなかったユバルさんは指揮官に理由を尋ねます。
元イスラエル兵・ユバルさん
「指揮官は当初、正当化しようとしましたが、説明は不十分でばかげたものでした。その後、彼は『復讐』という言葉を放ちました。イスラエルは復讐を望み、そしてそれを、『軍事的な正当化』と混同させているのです。恐らくもっともっと酷い話があるでしょう。例えば、発砲を必要としない状況で発砲するということです。そのような時、家が焼かれるのではなく、人が殺されるのです」
イスラエル国内では停戦を求める声が上がっています。しかし、ガザでの戦火は中東各地へ。対するヒズボラも「復讐」と「報復」が連鎖し続けています。
現在、「ガザ侵攻に反対する」署名活動を率いている元イスラエル兵のユバルさん。これまでに130人の兵士が加わったそうです。
元イスラエル兵・ユバルさん
「これ(奇襲)が現実であると理解するまでには時間がかかりました。
イスラエルの人々はベッドで襲われ、殺害され、女性はレイプされ、子供たちは生きたまま焼かれたのです」
ユバルさんはハマスの奇襲を厳しく非難する一方で、再びガザで戦闘に当たることは「拒否」すると決めています。
元イスラエル兵・ユバルさん
「私たちは爆撃で(ガザに住む)4万もの人を殺したのです。パレスチナ人の人口の50人に1人です。あなたの友人のことを考えてみてください。50人のうち1人が亡くなっています。私はもう、イスラエル(政府)がこの戦争を終わらせるために力を尽くしていると信じることができません」