1歳の息子を育てる、シングルマザーの美紀さん(仮名)。自治体が運営する、ファミリー・サポート・センターに度々こどもを預けています。
シングルマザーの美紀さん(仮名)
「美容室行きたいとか、ちょっと休みたい時は短時間今みたいにお願いしています。介護の仕事に就こうと思っていて、平日は職業訓練で資格の勉強中なんですけど土日は民泊清掃を主にしています」
安定した仕事に就くために、試験勉強と子育てを両立させながら、主に土日は働いている美紀さん。ひとり親世帯の支援団体「ゆいはぁと」から住宅や食料、衣類などの支援を受けています。
シングルマザーの美紀さん(仮名)
「託児所もあったり弁当の配布もありますし、洋服や靴ももらえたりしていますね。それでも光熱費だったりガソリン代、おむつ代、食費とかですぐ減っちゃいますよね」
去年県が実施した調査では、小学5年生と中学2年生の子どもを持つ家庭の3割近く(28.9%)が困窮世帯に分類され、ひとり親世帯に限ると7割近く(67.65%)が困窮世帯となっています。
10年前からひとり親世帯の支援活動を行い、県の有識者会議にも参加していた小那覇さんは、就労状況の改善が重要だと話します。
県母子寡婦福祉連合会 小那覇涼子事業推進部長
「ひとり親世帯に限らないと思いますけれど、沖縄全体で非正規雇用率非常に高い状態ですよね。パートであったり、ダブルワークだったり、トリプルワークだったりしていますし、何かあった時にすぐ雇い止めっていうか」
県全体で非正規雇用が多い現状に加えて、小那覇さんは、ひとり親世帯にとって厳しい実情があるといいます。
県母子寡婦福祉連合会 小那覇涼子事業推進部長
「ひとり親世帯に関して言えば、子育てと両方ひとりで担うということから、なかなか企業に正規での採用が難しくなっているという現状があります。とりあえず就労を安定就労につなぐというのは大きな課題になります」
困窮世帯が抱える問題のひとつは、経済的な理由で子どもが進学を諦めてしまうことです。大学生の娘を持つシングルマザーの綾子さん(仮名)は、娘が進学にかかる費用を気にする様子が印象に残っていると話します。
シングルマザーの綾子さん(仮名)
「『この大学だったらお母さん払えそう?』とか、『このくらいだったら行けそう?』とかいろいろ計算してくれたから、自分も節約しながら一食たべないとか、どうにか大学費用までは払えるようになったんだけども」
娘が自ら調べて、返還の必要が無い給付型奨学金の制度を利用することで、大学に入学させることが出来たと話す綾子さん。
シングルマザーの綾子さん(仮名)
「教育の貯金が何もなくて養育費ももらえない中で、私の収入に合わせてくれたこの制度、(給付型)奨学金があったからあの子がやりたいことを応援できるかなって思っています。もしなかったら諦めてもらっていました」
1歳の子どもを育てながら介護職を目指して、資格試験の勉強に励む美紀さん。シングルマザーである美紀さんは正規雇用の仕事に就けたとしても、将来に不安を感じていると話します。
シングルマザーの美紀さん(仮名)
「小学校で使う筆記用具だったりとか、洋服とか靴とか上履きとか教科書代とか全部ひとりで払えるのかとかだったり、子どもがもし習い事したいとかいうのはやらせてあげたいんですけど、その時にお金があるのかとかは考えたりします」
各市町村の教育委員会では、学校生活にかかる費用の一部を援助する「就学援助」を行っていますが、対象者の範囲や援助を受けられる項目は限られています。また、多忙な日々を送る美紀さんは、短時間で制度を理解するための丁寧な説明を求めています。
シングルマザーの美紀さん(仮名)
「役所行くじゃないですか、扶養手当とかも全然わからなかったので、話を聞きたいんですってことで行ったんですけど、紙を渡されて『これ見てください』ってだけで理解できないじゃないですか。なんでこんなにひとり親が苦しまないといけないんだろうっていうのは毎回思っています」
県母子寡婦福祉連合会 小那覇涼子事業推進部長
「施策としてはやっぱり充実してきていますし、個々の部分でかなり改善はみられているんですけど、長期的に行政がやらなければいけないところ、制度の創設や拡充などそういうところをしっかり見据えてやっていただきたいと思っています」
子どもの貧困率が全国の2倍を超えるといわれる沖縄。ひとり親世帯が苦しむ現状を新たな知事はどう改善していくのでしょうか。
【スタジオ解説】
子どもの貧困対策、各候補者の政策を改めて見ていきます。

まず下地幹郎(しもじ みきお)さんは大学・専門学校までの授業料無償化などを掲げ、教育税の徴収や財政の見直しで550億円の予算を捻出するとしています。

続いて佐喜眞淳(さきま あつし)さんは、「子ども特区」を創設し、政府から必要な支援策を最大限引き出して、給食費や保育料、子どもの医療費の無償化に取り組むとしています。

玉城デニー(たまき でにー)さんは、就学が困難な家庭の援助や返済義務のない給付型奨学金の拡充を行うほか、ひとり親の生活自立支援などに取り組むとしています。
RBCでは候補者のプロフィールや政策について紹介した特設ページを開設しています。沖縄の将来をどの候補にたくすのか。投票するさいの参考にぜひご活用ください。