■「パトカーから出たが流されている」水没する音を最後に通話は切れた


署員との電話は一度切れ、佐藤警部からは午前0時12分、110番通報が出される。

「パトカーから出たが流されている」「自分も、玉谷警部補も掴まっている」

何につかまっていたのかは、わからない。ただわかるのは、何らかの理由でパトカーの外に出たであろうということだけ。あるいは、出ざるをえなかったのか。



この通報の後、最後となる電話が佐藤警部から発信された。相手は、冠水する道路の直前まで到達し、ライトの光を確認していた署員だった。電話を受けた署員は、佐藤警部を励ましたという。

しかし…水に入ったような音を最後に電話は切れた。

佐藤警部と玉谷警部補、2人がこの現場に到着してからおよそ45分間の出来事だった。