霊感商法の問題に取り組む全国の弁護士連絡会が、6日富山県の新田知事に対し「今後は旧統一教会やその関連団体とは一切関係を持たない」ことを求める申し入れをしました。弁護士連絡会は県民を守るためだとして教団が反社会的であることを自ら判断して関係を切るべきだとしています。
霊感商法の問題に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会が6日、東京で記者会見を開きました。

記者会見の目的は2つ。1つは旧統一教会が各地の消費生活センターに連絡し、被害相談を「火消し」しようとしていることへの対応。もう1つは新田知事に申入書を送ったことの発表でした。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口 広弁護士:
「我々から見ると開き直りのような対応だったので具体的な事実を指摘して統一教会との関係については被害の増大、あるいは富山県民を被害から守るという視点からも関係については考え直してもらいたい」

新田知事をめぐってはことし7月20日の会見で、おととしの知事選で旧統一教会、世界平和統一家庭連合から選挙の支援を受けたことを初めて認めました。
新田知事(7月20日):
「集会を開いていただいてそこでお話をさせていただくということでした」
記者:
「(選挙協力を得た)知事の行動は今振り返ってどう考えていますか?」
新田知事:
「やはりそういった場を作っていただけるということは、当時の私の立場にとってはありがたいことではありましたよね」

弁護士連絡会は「県知事自らこのような選挙活動についての支援を受けた事実があったことを認め、それが『ありがたいことだった』と述べたことに強い衝撃を受けました」としたうえで、「自分たちの主張や活動が県政のトップに受容されたと周知され、組織のためになるとともに、強引な献金勧誘や正体を隠した信者勧誘・教化活動を強化し拡大することになる」として「知事の行為が県民の人生やその家族に深刻な悪影響をもたらすことを県民ひとりひとりの立場に立って考える」よう求めました。

新田知事(8月25日):
「コンプライアンス上の問題があれば、当然、関係は見直すことになります。ですから今、世界平和連合においては関係する中でコンプライアンス上の問題が今、指摘されている。これについては今、葉梨法務大臣が『政府総がかりでこれについては検討していく』また河野大臣でしたか、消費者庁担当の河野大臣も消費者庁としても、さまざまな商法については、もう1回、再発防止、『二度と起きないためにどんなことができるかということを検討していく』とおっしゃっていますので、今後、事のよしわるしはそちらのほうで、ぜひ判断をいただきたいと思う。私としては現状、コンプライアンス上の問題のある組織のひとつであるとすればそちらとは、付き合わないという、付き合い方は考え直しますと申し上げたところです」

弁護士連絡会は、新田知事が自ら旧統一教会について反社会的かどうか自ら判断していないことについて、様々な裁判の判決などから旧統一教会が「法的に不当な目的の過大な要求を組織的に繰り返し行っている反社会的勢力と言わざるを得ない」としています。

全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口 広弁護士:
「政府がですね、この団体が反社会的か認定する制度はないんですよ。現実的に多くの裁判所の判決で統一教会の霊感商法について違法性があると、統一教会に使用者責任があるという形で組織的な霊感商法の被害が生じている。それについて損害賠償を支払う義務があるということははっきりと認定されていますし、そういうことを考えますと反社会的団体であるということは明白だと。やっぱり県知事さんはそれについて煮え切らない態度をしている。それはきちっと判断をして、関係を切ると」
新田知事は9月2日の定例会見で、政教分離や県民にも信者がいることを理由に、知事の立場では旧統一教会と「関係を絶つ」という発言はできないとしました。
新田知事(9月2日):
「関係を断ち切るとまで言えとおっしゃるということは、私はその宗教団体への圧迫にあたるというふうに思っていますし、ということはそれを信じておられる方々をやっぱり断ち切るということにつながるんじゃないかと理解をして、私はこの立場でそういう発言はできませんと言っていることです」

新田知事:
「もちろんおっしゃるように世俗的な部分ですね、商売とか商法とかそれについて、コンプライアンス上の課題がある団体でもあるわけですから、それにつきましてはコンプライアンス上の問題のある団体とはお付き合いはしませんと」
全国霊感商法対策弁護士連絡会 川井康雄弁護士:
「政教分離の話と我々が言っている統一教会との関係、全く別の話です。宗教だから関係を切ろという話は全くしていない。統一教会がこれまでやってきたあるいは現在もやっている違法な行為、その違法な行為をしている集団に対して関係を絶つべきだとお話をしている。政教分離の話は全く理由になっていない」
関係を絶つのか絶たないのか?新田知事に対して弁護士連絡会は、これまでの旧統一教会関係者との経緯や、 知事選後の関係を質問。
「今後は統一教会やその関連団体とは一切関係を持たないでいただきたい」として、どのように考えるのか明らかにするよう求めています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 山口 広弁護士:
「統一教会の特徴の一つは完全に韓国人支配の宗教組織なんですよ。ですから、日本人の田中会長がコンプライアンス守れと言っても韓国の幹部が今年の献金目標は100億円と言えばなりふり構わず達成するしかなくなっちゃう。そういう意味できちっと実態をふまえて判断していただかないと困ります。ただ統一教会はコンプライアンス宣言で悪いことしませんと、100パーセント信用できません。韓国人の幹部が何と言っているか、私の方から言わせれば(信用できないと)言いたいです」

今回の申し入れを受けて新田知事は「今後、その趣旨や内容を確認したうえで適切に対応してまいりたい」とコメントしました。