「息子を連れて帰る」手がかり探す父

10年の歳月で薄れゆく記憶。一方、片時も忘れることなく家族の帰りを待ち続ける人も…。

愛知県刈谷市に住む、野村敏明さん(64)と、弟の正則さん(61)。敏明さんの長男・亮太さん(当時19歳)は噴火に巻き込まれ、いまも行方不明のままです。あの日、亮太さんはおじの正則さんと一緒に御嶽山を登っていました。

(亮太さんのおじ 野村正則さん)
「当時一緒に登っていた亮太を待たせてしまっている。申し訳ないという思いの10年間でしかない」

この日は遺族らで作る「やまびこの会」の慰霊登山で2人は噴火と同じ時刻の午前11時52分。山頂で他の遺族らとともに手を合わせました。

(亮太さんの父 野村敏明さん)
「安らかになってほしいという意味を込めて手を合わせた。自分の息子もいるわけだから」

この山のどこかにいる亮太さんを、何とか見つけたい…。野村さんは何度も捜索に参加してきましたが、今後、長野県による捜索が行われない見通しになり、ことし初めて、山岳遭難などで実績のある民間会社に捜索を依頼しようと考えていました。

(亮太さんの父 野村敏明さん)
「親としてはどうにかして帰してあげたい」

2016年の捜索で見つかった、亮太さんのスマートフォンは野村さんの心の支えになってきました。

2年間、風雨にさらされていたにもかかわらず、奇跡的に電源が入り、そこには噴火の1か月前に撮影された花火大会の動画が…