製造から4年経ったパンの味は…
無菌状態で焼きあげ、特別な紙が“守る”賞味期限5年の缶詰パン。試食させてもらうと…
『月刊食品工場長』木下さん:
「フワフワ。甘味もちょうどいいし香りもすごく良い」
THE TIME,マーケティング部 原千晶部員:
「しっとりしてて美味しい!」

香りも食感もパーフェクトという2人ですが、試食したものが「製造から4年経ったもの」と聞きビックリ!焼きたてと比べてみると、違いは歴然でした。
『月刊食品工場長』木下さん:
「焼き立ては、まだ馴染んでいない感じ」
そう、パンの缶詰は製造から約1週間で水分が馴染み、保存した方が美味しくなるんです。これも、パンを守る“特別な紙”のなせる業。
試行錯誤の連続…「紙」を求めて海外に
「元々は普通の街のパン屋さん」だったという『パン・アキモト』が、缶詰のパンを開発したきっかけは1995年に起きた阪神・淡路大震災でした。
栃木から2000個のパンを持って被災地へ行くも、パンが日持ちせずほとんど役に立てず…。そこで保存期間が長いパンを作ろうと決意したといいます。

『パン・アキモト』秋元義彦会長:
「いきなり缶詰じゃなくて、真空パックを考えたり。パンは潰れても戻ると思っていたけど戻らなくて、色んなことを試行錯誤した」
諦めかけていた時、配達先の隣に偶然あった「たけのこの缶詰工場」を見て、パンでもできるかもと研究を始めます。
「いい紙が見つかれば、うまくいきそう」というところまで辿り着きますが、個人の思い付きで製紙メーカーの協力を得るのは難しく…
『パン・アキモト』秋元会長:
「とある商社の方が海外で探してくれた。なので社員も知らない紙」
会長が“紙様”とよぶ、ある国で作られた紙と出会い見事パンの缶詰が完成!自治体や企業の備蓄食として大ヒットとなり、今では月10万缶を販売し、年間売り上げは5億円超えになりました。
ただ、賞味期限が5年もあるので、そうそう買い替えてもらえないのでは…?
これも、ある取り組みでクリアできているといいます。
『パン・アキモト』秋元会長:
「買ってくれたお客様に協力を要請するんですが、賞味期限が切れる前に回収してチェックをして、被災地や食料難のところに送っている」

4年に1度、賞味期限が残り1年程度になると自治体や企業に新しいパンを買ってもらい、古いパンを回収。まだ1年期限があるパンを、被災地や食料難の国に無償で提供しているのです。まさに備蓄・フードロス削減・社会貢献を結びつけた取り組み。賛同する企業も増えているとのことです。
