去年に続き、観測史上最も暑い夏となった2024年。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は“地球沸騰化”だと警鐘を鳴らしています。貧困や不平等、気候変動への対応など17の世界共通の課題を掲げたSDGsも、ゴールとしている2030年まで折り返し地点を過ぎました。「今、手を打たなければ手遅れになってしまう」状況で、私たちはどんなACTIONを起こせばいいのか。TBSのSDGs大使である日比麻音子アナウンサーが国連広報センター長の根本かおるさんに聞きました。

折り返しを過ぎたSDGsは赤点!!

日比麻音子アナウンサー(以下、日比):
2015年に国連総会で採択されたSDGsですが、目標達成は2030年、折り返しを過ぎて残り6年となっています。ということでSDGsの現在の目標達成の状況はどうなっているんでしょうか。

根本かおる国連広報センター長(以下、根本):
現状は、実を言うとピンチです。窮地です。SDGsの17のゴールの下に169のターゲットという、より詳しい目標があるんです。そのうち140がデータに裏打ちされているもので、それを見たところ、順調に進んでいるのは140のうちの15%しかない。(収録時のデータ。2024年6月28日公表の国連のSDGs報告書では17%)

(*)軌道に乗っているターゲットは5分の1に満たず、世界はSDGsの約束を果たせなくなりつつある ― 新たな国連報告書が警鐘(2024年6月28日付プレスリリース・日本語訳)

日比:ちょっと、そうでしたか。

根本:弱々しい前進か停滞というのが48%。半分くらい。そして、むしろ後退というのが37%もあるんです。これ点数で言うと赤点でしょ。(*)

日比:ホント進級も危ういくらいですね。

根本:この背景はですね、コロナ。(コロナが)特に脆弱な立場にある国々だったり地域だったり、豊かな国であってもやっぱり貧富の差がありますよね、弱い立場にある人たちを直撃しました。それから、気候危機。経済発展を、大きな気候災害があるといっぺんに持ってかれちゃいますから、これがどんどん深刻になってる。そしてウクライナ戦争以降ですね、物価の高騰があって、これが特に弱い立場にある国々を直撃しているわけですね。豊かな国々はそういったショックを受けても自力で何とか這い上がることができる。しかし開発途上国の場合は自力では立ち上がれない。で、例えば、そのコロナから、それから気候危機から立ち上がるためにお金を借りないといけないわけですよね。途上国によっては、自国の医療とか教育に振り向けている予算よりも、利払いの方に予算を振り向けている国がたくさんあって、なんと世界人口の4割にあたる人達、32億人はそういう国々に住んでるんですよ。

日比:そこまで!かなりの割合ですよね。

根本:はい、そういう窮地にあってですね、SDGsの実施の後半戦は、やっぱり波及効果が大きなチェンジメーカーになるような、そういった分野により資金を手当して、そこでアクセルを踏んでいくってことが必要だなと。それは例えば食糧の話だったり、あるいはデジタル化、それからエネルギー、再エネへの転換とか教育とか、波及効果の大きな分野がドライバーになりますので、そういった分野により手当を振り向けてですね、リソースを振り向けて頑張っていこうというふうに呼びかけています。