福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今回は、およそ280年続く須賀川市の畳店です。“畳の販売だけじゃない!”。畳店としての可能性を広げ続ける15代目に注目しました。

日本の伝統的な床材『畳』。その歴史は古く、奈良時代や平安時代には貴族の住宅に使われ、戦後、一般家庭に広く普及しました。井草を編み込んで作られた畳表は、リラックス効果も抜群。長年、日本人に愛されています。

そんな畳をなりわいとする老舗の一つが須賀川市に。創業1740年の『久保木畳店』です。およそ280年、畳の販売や内装工事を通じ、地域の暮らしを支えてきました。

現在、会社を率いるのが、15代目の久保木史朗さんです。家業を継いだのはこんなきっかけが。

--久保木史朗さん(久保木畳店 15代目)「先代の父から家業の厳しい現状を聞いて、業界全体が厳しいということを聞いて、自分が何とかしたいと思って。」

住宅の洋風化に伴い、和室のない家が増加。市場全体の衰退は久保木畳店にも影響していました。

--久保木史朗さん(久保木畳店 15代目)「今まではチラシを出すと、ある程度は電話が鳴ったりしてたんですけれども、それの反響が全然来ない。かといって、どういうふうにしていいかも分からないという状況が数年続いていました。」

そんな中、まず取り組んだのが。

--久保木史朗さん(久保木畳店 15代目)「種類を絞りました。ロスがとても多くて、絞ればロスのも減ると。そうすると価格を下げられるんですよね。」

扱う畳の種類を10種類から4種類に厳選。そうしたことでこんなメリットも。

--久保木史朗さん(久保木畳店 15代目)「たくさんあると、『どう違うんですか?』って聞かれてあんまり答えられてなくて。今では胸を張って一番いいものがお客さんにとってもいいですよと言えるようになりました。」

地元のお客さんを一番に考え、より良い提案ができるようになった久保木畳店。そんな中、和室を持たない人にも畳の魅力を伝えようと取り組んでいるのが小物の製造販売です。主力となるのが、こちらの『畳コースター(2420円~)』。開発当初にはこんなうれしい出来事が。