観光ブームでも「黒字になったことがない」文化財維持の苦労

時国さんは、大学卒業後、38歳まで東京で働いていましたが、父親・恒太郎さんが亡くなったため、石川県へ戻り、大学講師を務める傍ら、上時国家住宅を管理してきました。

上時国家・二十五代当主 時国健太郎さん

国指定重要文化財の維持管理の費用は、国の補助はありますが、まずは所有者である時国さんの負担となります。

重要文化財の修理保全は、国へ事前の届け出や報告が必要で、職人の手配など大変な負担がのしかかります。

上時国家住宅の茅葺き屋根 MROライブラリー映像より

2012年のかやぶき屋根の吹き替え工事には、九州産のかやを使い、京都から職人を呼びました。費用は、およそ1億5000万円。大規模な修理がない年でも、観光客用のトイレなど細かい設備の更新が必要な時があり赤字。歴代の当主は、費用の工面に頭を悩ませてきました。