首都・東京の水害対策
こうした事態への対策として、東京都は、道路の地下に巨大な調節池を整備。こちらの「神田川・環状七号線地下調節池」では最大54万トンの水を貯めることができます。
現在、対応できる想定雨量は1時間50ミリですが、将来的に75ミリまで対応できるようにするといいます。
ところが今、東京はそうした想定を越える豪雨に見舞われているのです。
記者レポート「渋谷駅の地下に広がる空間、大雨から駅を守ります」
すり鉢状の地形の最も低い位置にある渋谷駅周辺。以前から水害対策が課題となり、2020年8月、渋谷駅東口の地下に、雨水をためる施設を完成させました。
総面積およそ1000平方メートルの区画を3つに区切り、降水量に応じて使用。合計でおよそ4000トンの雨水を貯めることができます。
アンダーパス 地下街の危険性
しかし都市の浸水に詳しい、早稲田大学の関根教授は、こうしたハード面の整備には限界があると指摘します。
関根正人・早稲田大学教授(河川工学)
「1時間に50ミリの雨で、下水道とか都市河川は設計してます。最近、それを超えるような100ミリの雨が降ってくる。これは渋谷区が公開しているハザードマップ。この緑の帯の所は周辺より、大きな浸水になる場所ですが、ここから先も実は(昔は)川はあった。標高が低いので渋谷区も危険ですよと。それから、地下空間、地下街、アンダーパスが最も危険な場所」
実際、1999年8月の大雨では、渋谷駅の地下街が浸水し、大きな被害をもたらしています。
では、仮に1時間およそ100ミリの大雨が降ると、地下街はどうなるのでしょうか。例えば丸の内の地下街。何も対策をしなかった場合、関根教授のシミュレーションでは、水深3メートルに達する箇所も出るといいます。
河川の氾濫
さらに大都市・東京で、広範囲に深刻な被害をもたらす恐れがあるのが、荒川の氾濫による水害です。
これは、国土交通省が最悪の事態を想定して作ったシミュレーション動画。もし荒川が氾濫すると、東京は濁流に呑み込まれていきます。関根教授は2019年の台風の際も、こうした危険があったといいます。
関根正人・早稲田大学教授(河川工学)「もしかすると(東京の堤防を)越えるかもしれない、そういう危ない状況が起こって いた。1990年代ぐらいまではハードウェアできっちり守っていた。ところが 自然が一つ高いレベルの脅威に変わってしまった。今後も引き続き同じようなことが起こる可能性はある。」
9月1日は防災の日。近年、激しさをます台風や大雨を前に、改めて真剣な対策が求められています。
(「サンデーモーニング」2024年9月1日放送より)














