自転車で観光するサイクルツーリズムを富山で推進する協議会が8月27日発足しました。サイクルツーリズムは、地方でインバウンドに対応する観光の起爆剤として期待されています。
富山県民会館に富山県などの自治体や観光関係者、自転車関係団体などが集まり「TOYAMAサイクルツーリズム推進協議会」が発足しました。

サイクルツーリズムは自転車を利用して地域を観光するアドベンチャーツーリズムのひとつで、欧米やオーストラリア、台湾などで人気が高く外国からの観光客、インバウンドの誘客に効果があります。
インバウンドの観光客は滞在日数が長く、予算設定も高いため観光面での増収が期待できます。
武田真一会長(富山県サイクリング協会会長):「宿泊や食事場所など今までにない異組織をつなぎ、自転車というツールをもって利益を生み出し、地域を活性化していきたい」
富山は、海から山への距離が近いことや1級河川が多く道がわかりやすいことなどから多種多様なサイクリングコースを設定でき、「グランフォンド富山」や「富山湾岸サイクリング」などこれまでも全国で有数のサイクリング大会が開催されてきました。

特に「富山湾岸サイクリングコース」は、国土交通省の「ナショナルサイクルルート」に指定されるレベルの高いサイクリングコースです。

ナショナルサイクルルートは瀬戸内海の「しまなみ海道」や琵琶湖を1周する「ビワイチ」など全国で6か所だけが指定され、国が世界に紹介しているサイクリングコースです。
富山湾岸サイクリングコースは富山のダイナミックな自然景観はもとより、グルメ、体験、おもてなしなど総合的に魅力を秘めインバウンドへのポテンシャルが高いとされています。

ところが富山湾岸サイクリングコースが2021年にナショナルサイクルルートに選定されて以来、外国人が走る姿を見ることはめったにないのが現状です。
世界のサイクリングコースのトップ10に選ばれている「しまなみ海道」は、年間30万人を超えるサイクリストが訪れ、外国人の姿も多くインバウンド需要も高くなっています。
自転車での観光は、徒歩や自動車での移動と違い、自転車による程よい移動距離の中で気軽に寄り道をしながら、ゆっくりと見たり、聞いたり、食べたりするだけでなく地元の人とのふれあいや農業や漁業などの体験を通じた「こと消費」もできます。今までにない観光を開拓し地域資源を活かして都心部にはない日本文化に触れる機会となる魅力を持っています。

TOYAMAサイクルツーリズム推進協議会の企画が、今年7月に観光庁の地域観光新発見事業に採択され、補助金を得られることになり、富山のサイクルツーリズムの可能性について実証実験を実施することにしています。
この実証実験は、インバウンド観光客を想定、Eバイク(電動自転車)を利用し、富山駅を出発し富山湾岸沿いを観光し、新高岡駅までを2泊3日で費用は15万円を想定して行われます。
今回は、10月に2回モニターツアーとして行う予定でインバウンド観光先進地や海外の旅行会社などを招いてのモニターツアー、また通訳ができるガイド養成のためにツアーを実施してツアーの商品開発をしていくことになります。
高桑幸一理事長(富山大学経済学部客員教授):「しまなみ海道は、10年以上継続して調整を続け、県域を越えたレンタサイクルのシステムで利益を生み出す仕組みをつくった。富山も異組織の壁を越えたサイクルツーリズムで地元に利益を生み出すことを目指したい」
