「人間ってバカなんで…」

現在の海面水温を示した図を見ると…。

水温27度の線が、日本海側では秋田、太平洋側で宮城辺りにかかっている。つまり東北地方より南の海は全て境界線といわれる28度を超える海といえる。そして北緯35度以南の海域は殆ど30度を超えている。この状況は立花教授が言う“今まで安全だと思われていた場所が安全ではない”ことを表している。

「低炭素社会」の実現に取り組む環境問題のスペシャリスト藤野純一氏は言う。

地域環境戦略研究機関 藤野純一 上席研究員
「令和元年の(長野新幹線が水没した)台風19号、あれ10月の台風だったんだけど太平洋の水温が27~8度あった。だから今まで通ったことない長野や郡山まで行っちゃった。この前の山形とか秋田とか…、こんなところに豪雨降るかねってところだから、準備もできてないですよね。(ハザードマップが役に立たない)普通来ないところに来ちゃうと困っちゃう…。でもそれが普通になっているところが怖い」

全ては地球温暖化に起因するというのは国立環境研究所の上席主任研究員も務める江守教授だ。

東京大学未来ビジョン研究センター 江守正多 教授
「海面水温上昇は一部には今年の特徴で黒潮のコースが云々ということもありますが、長期的には地球温暖化であって我々の温室効果ガス排出が続く限りはこれはさらに上がっていくし、更に豪雨は増え、水害も増える。でもそれは止められることなんです」

ただ地球温暖化対策の問題は一朝一夕ではできない。とりあえずは豪雨による水害に備える…、といった対処療法に徹するほかないのが現実だ。

“脱成長コミュニズム”の思想家、斎藤幸平氏は「人間はバカだから」と一刀両断にする。

東京大学大学院 斎藤幸平 准教授
人間ってバカなんで、じゃぁそこに高い堤防造ればいいじゃないって、“適応”になっちゃうんですね。本来やるべきはことは“緩和”。人間が出した二酸化炭素のせいなんだから二酸化炭素を減らすってことをやらないと本質的な解決にはならないのに…(中略)化石燃料をどう減らしていくかというところに政治や企業や市民の意識が向かっていかないってところに問題があって、ますます悪化していって、最終的には適応しきれない…」