水泳・フェンシング・馬術・ラン・射撃と全く違う5つの競技で戦う「近代五種」。2028年のロス五輪からは、人気番組『SASUKE』をベースにした新競技が採用されます。パリ五輪銀メダリストの佐藤選手も、すでに準備を始めていました。
日本では競技人口わずか50人

「メダル取って歴史を変えたいなと思っていたので、頑張ってきてよかった」
パリ五輪「近代五種」で銀メダルを獲得した佐藤大宗選手(30)。
1902年から112年、メダルはおろか個人入賞もできなかった日本に、初めてのメダルをもたらしました。
しかし、佐藤選手いわく、近代五種は日本ではかなりマイナーな種目。
「近代五種」銀メダル 佐藤選手:
「近代五種って何それっていう人の方が多い。競技人口は50人いるかいないか」
一方、ヨーロッパでは人気が高く、“キングオブスポーツ”とも呼ばれる近代五種は、水泳・フェンシング・馬術・ラン・射撃と全く違う5つの競技を一人で、決勝は1日で全て行う過酷なスポーツ。逆転につぐ逆転が生まれるところも面白さの1つです。
パリ五輪の決勝は【馬術】からスタート。
まず大事なのが“運”!乗る馬が試合直前の抽選で決まるため、初対面の馬とわずか20分間の練習で本番に臨まなければなりません。佐藤選手は馬術で見事満点を獲得。
すると5分後には次の【フェンシング】がスタート。この日は2試合でしたが、佐藤選手は5位に順位を落としてしまいます。そして休む間もなく【水泳】へ。自由形200mで4位に浮上します。
疲れ切った体でラストは【射撃】と【ラン】を組み合わせたレーザーラン。
800mダッシュしたら止まって射撃、これを4回繰り返します。息切れを我慢しながら10m先の的を狙い、5回当てたらダッシュ。4位だった佐藤選手は連続で射撃を命中させ、2位に!銀メダルを獲得しました。
「近代五種」銀メダル 佐藤選手:
「表彰台に上ったときに、本当に俺が取ったのかなって一瞬分からなかったんですけど、こみ上げる感情とかすべて交えて、もう最高だなって思いました」
「マグロみたい」銀メダリスト佐藤選手の1日
それにしても、5つもの競技をどうやって練習しているのか…?
佐藤選手が「魚に例えたらマグロみたいな感じで常に動いている状態」と話す1日のスケジュールは、朝5時からスタート。
【AM5:00:10kmラン】⇒(3時間後)⇒【フェンシング2時間】⇒昼食・ケア⇒(1時間後)⇒【水泳】⇒【射撃】⇒自主トレ
「近代五種」銀メダル 佐藤選手:
「本当に朝から晩まで動いて、夜ご飯を食べてすぐ寝る。また朝早く起きて走る」
フェンシングはパリ五輪で金メダルを獲得した日本代表の合宿にも参加したという佐藤選手。他にも馬術に射撃に水泳と、練習場所を探すのも大変そうですが、実は所属する自衛隊体育学校には5競技すべての練習環境が整っています。


佐藤選手が近代五種を始めたのも自衛隊に入ってから。水泳が得意でスカウトされたといいます。