データでみると“盛り上がりに欠けた”都知事選

TVメタデータの番組ジャンルをよりわかりやすくするために、大きく「ニュース/報道」と「情報/ワイドショー」に大別した。ニュース番組など各テレビ局の「報道局」が主体になって制作していると思われるものを前者とし、報道の映像素材を使いつつもタレントらがスタジオでトークしたりするものを後者に分類した。 

(1)と(2)の時期をまとめたのが【図1】だ。これを見ると、「ニュース/報道番組」と「情報/ワイドショー」で放送時間に大きな差はなく、告示前は「情報/ワイドショー」が「ニュース/報道番組」を上回って都知事選への関心を示していた。

逆に告示後は「ニュース/報道番組」の放送時間の方が上回っている。つまり告示されて選挙活動ができる期間になると、明らかに「情報/ワイドショー」の放送時間が減少し、消極的な姿勢が見てとれる。視聴率競争に敏感な「情報/ワイドショー」は、「ニュース/報道番組」を上回る熱心さを示さなかった。

先の経験則に照らしてみると、「盛り上がり」に欠ける選挙戦だったことは明らかだ。

(3)の開票速報も主な番組としてはNHKの総合が「ニュース」を拡大して開票速報番組を放送したほか、民放ではフジテレビが情報番組「Mr.サンデー」の中で都知事選特番を放送しただけだった。

他のTBS、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京は特番を組まずに、定時ニュースなどで結果を伝えただけだったので、開票速報という意味でもテレビ局がわざわざ時間をかけて伝える意味を見出さなかった選挙だということができる。

この表のデータを主な候補者別にしたグラフが【図2】だ。

放送された記録で見る限り、「告示前」や「告示後―開票速報前」まで主要候補とされた小池百合子氏、蓮舫氏、石丸伸二氏、田母神俊雄氏の間に大きな差はない。

特に選挙期間中が主となる「告示後―開票速報前」は、テレビ各局は放送の公平性を重視して放送する。“女の闘い”とされた小池氏と蓮舫氏を軸に放送されたことがわかるものの他の2候補と比べて「若干多い」という程度に過ぎない。