福島県内で長く愛される老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は、福島市出身の作曲家、古関裕而も愛した老舗楽器店です。歴史と伝統を守りつつ、変わりゆく時代に合わせた新たな店づくりを進めています。

JR福島駅前の商店街、パセオ通りの一角にある『日野屋楽器店』

1928年創業、現在はピアノを中心とした楽器販売のほか、子どもたちの演奏のレッスンなどを通して地元の人から愛され続けてきました。

--本間梨華さん(日野屋楽器店)「親子3世代で来てくれる方もいますし、変わらず来てくれることに感謝しています。」

4代目の本間梨華さん。自身も子どもの頃、ピアノを習うためこの場所に通っていました。ですが、店を引き継ぐまでは、先代たちがつないできた「歴史」について、あまり深く考えていなかったといいます。

--本間梨華さん(日野屋楽器店)「はじめはまさか、私がここを継ぐとは思っていなくて。ピアノを習いに来る場所ぐらいにしか思っていなかったです。」

そんな時、1枚の写真から日野屋楽器店の歴史を知りました。

--本間梨華さん(日野屋楽器店)「この写真が古関裕而さん。レコードの販売の記念で来福したときに来てくれたときの写真です。」

それは、福島が生んだ作曲家「古関裕而」も幼いころから足を運んでいた“ゆかりの場所”だったのです。

--本間梨華さん(日野屋楽器店)「『古関裕而さんは日野屋さんと関連があったんだよ』というお話を、いろいろな方が来店して教えてくれてたときに、この長い歴史を私が1年でも長く続けていかなきゃと思って仕事をするようになりました。」

店に訪れた人、そして本間さん自身がその歴史をいつでも感じられるように。店の壁には、古関裕而が来店した時の写真が大きく掲げられています。

これをきっかけに、100年近く続く老舗を守り抜く決意を、一層強くしたという本間さん。しかし、人口の減少やコロナ禍など、さまざまな困難にも直面してきました。

--本間梨華さん(日野屋楽器店)「震災の時にレッスンができなくなったり、生徒が少なくなってしまったりというのがあって。ようやく持ち直してきたかなと思ったときにコロナが始まったり・・・。」

--本間梨華さん(日野屋楽器店)「音楽柄になっていて、レッスンでも使えそうな文房具とか。」

“より多くの人に気軽に立ち寄ってもらえる店を目指してー”。本間さんは楽器の販売だけではなく、雑貨や地元の土産品など、さまざまな商品を並べ、これまでとは異なるより親しみやすい新たな店作りを進めています。

特にこちらは、本間さんらしさが溢れたコーナーです。