原作は60年前に旧和賀町・現在の北上市でまとめられた「石ころに語る母たち」と「あの人は帰ってこなかった」の2冊の戦争体験の聞き書き集で、いずれも絶版となっています。

「石ころに語る母たち」には、1961年から64年にかけて旧和賀町・現在の北上市で開かれた「戦争体験を語るつどい」で農村の女性たちによって語られた体験談がまとめられています。
当時、和賀町の職員だった小原徳志さんによって世に送り出されました。
北上市の詩人斎藤彰吾さん92歳は当時、このつどいに参加した一人です。

(斎藤彰吾さん)
「農家の婦人の健康守って、平和を守ろうという…。私もここへは、この集まりには2、3回呼ばれまして」
戦時中、戦争に勝つことが何よりも優先され、息子や夫の無事の帰りを願うことさえ表に出せなかった銃後の女性たち。
戦後になっても名誉ある戦死者の家と祭り上げられ、その悲しみや苦しみを人前で語ることははばかられたといいます。

(劇の稽古から)
「死んでから7年目にトロール船の網に足が片方引っかかって死体が見つかり、ポケットにあった手帳で身元が分かり、本当の遺骨が大湊から送られてきで、7回忌の法事ができだったのス」