年頃ですが、おしゃれはできず、牛乳瓶のふたについていた油を顔につけることが、唯一のおしゃれだったと話します。

布田一枝さん
「クリーム一つないんです。だから、牛乳瓶の蓋を開けると、蓋に油がついたんですよ。それをとってつけるのが一つのおしゃれ。他の兄弟がとったら嫌だから早く起きて、玄関にすぐ行って、牛乳瓶の蓋を取ってつけていました」
▼配給係では母乳の出ない母親から泣いて助けをもとめられたー
卒業後は役場で配給係を勤めました。
そこでは、栄養失調で母乳が出ない母親から、「赤ちゃんが寝てくれない」と泣いて助けを求められることもありました。
布田一枝さん
「少し空き地があると、畑にして大豆とか芋とか食べるものを作らんといけん。
お母さん連中も一生懸命、朝から晩まで働くからお乳も出ないんですよ。
食べ物も少ないし、栄養失調ですよね。だから自分の配給の米を少しずつ削って、それを粉にして、小さい鍋でドロドロにといて、赤ちゃんに食べさせていました」